建物・設備関連

マンションの建物・設備の点検について!

2021年1月19日

 

マンションは経年と同時並行に劣化が進行していきます。そこで、建物や設備の状態を正しく知るために様々な点検を行う必要があります。

 

この点検により、建物の修繕時期とか設備の更新時期を見極めたり、トラブルを未然に防ぐ、そういったことを知り得ます。なので、点検というのはマンション管理を行う上でとても重要な位置付けになります。

 



 

新築マンションにおいては、アフターサービスという定期点検がありますが、項目毎に無償対応期間が設けられているので、点検の立会いの際は、正しいチェックを行う必要があります。(アフターサービスの詳細についてはこちら👇)

分譲マンション|引渡し前とアフターサービスは厳重チェック!

 

また、建物や設備の現状の良し悪しを把握するために、外観目視点検や専門業者に依頼する保守点検などが定期に行われますが、これらの点検で重要なのは、点検者が誰なのか、その点検による不備の確認、そして修繕(手直し)箇所の確認の3つです。

 

住戸内(専有部分)であれば、日々の暮らしの中でそこの住人が異常に気付き、業者などへ修理を依頼し、誰から言われるまでもなく、自己責任でそれを行っています。

 

これが共用部分の場合、我関せず的な発想に陥りやすく、結局のところ全てが他人任せになっている感は否めません。

 

その共用部分の管理を行うのが管理組合の役割であり、それを執行するための組織が理事会になりますが、役員は持ち回り(輪番制)が多いので、そこでも他人任せになりがちです。

 

そして、建物とか設備のチェックは、委託先の管理会社とか専門業者が行うもの、そんな風に考えている方が多いように思えます。

 

確かにそれぞれの業務を請け負うのは管理会社を含めた業者たちかも知れませんが、全てを任せて良いとは限りません。あくまで主役は管理組合であって、指示を出したり、確認するのは管理組合の仕事と言えます。

 

実際に管理会社任せにしていると不要な修繕が生じたり、逆に修繕が必要なのに放置状態というケースが見受けられます。(これは本当に多い…

 

なので、点検を管理会社や専門業者が行うにしても、再チェック(現場確認)は管理組合が行うという姿勢はとても重要です。

 

とは言っても、誰かが先導しなければ自主的に行動するのは困難です。その大役を担うのが、マンションの管理者である理事長だと言えます。マンションによっては、管理組合役員の中から建物とか設備の管理担当を決めて、その役員が行うケースもあるでしょう。

 

委託先の管理会社からペーパーで提出された報告書のみでその良し悪しを判断せずに、必ず現場確認は行うべきです。現場を見て気付くことは多々ありますからね。(参考になる記事はこちら👇)

丸投げ管理で得をするのは管理会社だけ!

 

そこでふと思い浮かんだのは、踊る大走査線の青島俊作(織田裕二)の名台詞です(笑)。

 

事件は会議室で起きているんじゃない! 現場で起きているんだ!

出典:2010 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー

 

これを先程の管理組合風にアレンジしてみると、

 

 

くどいようですが、現場をまず確認し、知ることが重要です。

 

専門知識を持たないから、素人の私が見ても分からない、そんな理由で現場に足を運ばないケースが多いと思いますが、現場を見ることで、意外と質問や疑問が生まれたりもします。

 

そこで分からないことを聞いたり、調べたりすることでより理解が深まります。知識を持つことで、業者の対応が変わったりもします。交換せずに一部の修理で済む場合もあります。

 

業者というのは当然に売上を求めます。相手が無知だと知れば、業者側の都合だけで物事を進めようとします。無駄な工事というのは、そうした考え方から生まれます。

 

大規模修繕を行った際にアフター点検というサービスがありますが、1年点検、3年点検、5年点検、10年点検、これが近年では一般化されています。

 

この点検結果により、不適切(保証対象)箇所が見つかれば無償で補修を行ってくれるサービスですが、「見つかれば」☜ ここが重要です!

 

施工会社は手直しを嫌います。なので、業者任せにしていると「臭い物には蓋をする」の言葉とおりに終わってしまいます。見てみぬ振りをするという意味です。

 

大規模修繕の場合(新築マンションのアフター点検も同様)、専門家による立会い(第三者チェック)が望まれます。設計監理方式の場合、マンションによっては設計事務所(設計コンサルタント)がこれらの点検に立会うケースがあります。

 

なので、大規模修繕時に設計監理方式を選択する場合、アフター点検の立会いまで設計監理業務に含まれるのか、事前にその有無を確認された方が良いですね。

 

全ての点検において、身近な管理会社が管理組側の立場で適切にチェックしてくれると助かりますが、残念ながら現実はそうではありません。

 

点検報告書はコピペで使い回しとか、例を挙げるなら改善してるのに不備事項のままになっていたりもします。おいおい、おたくにお金を支払って修理したでしょと言いたくなります(笑)。

 

管理会社や施工会社からみれば「余計なお世話」的な記事になりましたが、現実を鑑みると管理組合による自主チェックは本当に欠かせません。

 

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屋上の点検から見えてくるもの!

 

 


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 プロフィール

くるみ

くるみ

著者:kurumi

マンションデべロッパー、デべ系管理会社、建設会社勤務を経て、2004年に管理会社設立。
2017年に業界を離れ、今はフリーランスとして活動しています。
元業界人がマンション管理についてしがらみ抜きでガチで語っているので、是非読んでみてください。

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