近年、マンションの空き区画の問題が深刻化しています。この現象は、交通の利便性の高い都心部だけではなく、地方においても増加傾向にあるという話を耳にします。
自動車離れ、マンション居住者の高齢化、カーシェアリングの普及、機械式駐車場の規格外の自動車(ハイルーフ車両)の普及などがその背景にあると思われますが、マンションの駐車場使用料を一般会計に充当している管理組合では、空き区画が増えれば深刻な問題と化します。
店舗・事務所のあるマンションでは、そこのテナントが駐車場を複数区画まとめて契約されるといったケースが見受けられますが、そのテナントが退去した後に複数の空き区画が生じて、募集しても中々借り手が見つからないといったこともあるでしょう。
私の知人が住んでいるマンションでは、そのようなことが実際に起きていますし、収入が減ることによって、管理費の値上げを強いられます。
特に機械式駐車場では、車両制限により借り手が見つからず空き状態が続いているマンションが多いと聞きますし、今の車はハイルーフ仕様が多いので、借りたくても車が入らないといったミスマッチが生じています。
マンションによっては、機械式駐車場の一部を廃止するところも増えていますが、地下ピットを埋戻す費用とか、当然に台数が少なくなるから、そこには様々な問題が潜んでいます。
空き対策として、外部の方に駐車場を貸すといったマンションもあれば、サブリース会社に駐車場を借り上げてもらうケースも見受けられます。この場合、居住者のみの使用規定が敷かれているマンションでは、管理規約の改正が必要になります。それと収益事業とみなされ、税務上の問題が出てきますよね。
20代の若者の車離れのニュースがここ数年マスコミなどで取り上げられていますが、今の若者たちがマンション購入世代になったとき、駐車場の空き問題が更に深刻化するように思えます。
駐車場利用者が減少することにより、連動して管理組合の収益が減少することを理解し、実際に減少傾向にあるマンションでは、早めの対策が必要です。
マンションによっては「外部の人には貸したくない」、そんな声を耳にしますが、管理組合の赤字収支が続くとすれば、背に腹は代えられない、そのような状況に追い込まれることも十分に考えらます。
景気が良くなると月極駐車場などの土地には、収益性の高いマンションやビルなどが建ちます。逆に景気が悪くなると駐車場は増えます。このような事象が時勢によって繰り返されています。
なので、月極駐車場の料金相場や周辺環境も時代と共に変化しますので、状況によっては、マンションの駐車場料金の見直しが必要になったりもします。
調べてみたらマンションの駐車場料金が近隣の月極駐車場よりも高く設定されていたりもします。敷地内の駐車場だから近隣よりも高くて当たり前という考え方もありますが、空き状況が続く場合は、その考え方は改める必要があるように思えます。
敷地内の駐車場は止めにくいし高いから、それを理由に外部の月極駐車場を借りるといったケースもあるでしょう。「高くてもご自分のマンションの駐車場を利用してください」、なんて強要はできませんからね。
マンションによっては、2台目の駐車場料金を敢えて高く設定されていたり、同額になっていたりしますが、空き状態が続くのであれば、逆に2台目は低く設定するといった考え方を持つべきかも知れません。
2区画も借りていただきありがとう的な…
2台目を借りる場合の条件もかなり厳しいものがありますよね。例えば、1台目の方から申込みが出た場合、3か月後に解約といった条件…
これも、2台目を借りる際に、1台目と同じ料金を支払う場合は、前述の解約条件は無しにして、1台目と同じ契約にするとか、低く設定した料金を選択する場合は前述の解約条件を用いるなど、工夫すれば色んな貸し方ができます。
なので、色んな発想を持ち、マンション内に捉われずに色んな角度から駐車場の空き対策に取り組む必要があるように思えます。