自分たちが住んでいるマンションの建物点検は、いつ誰が行っているのだろう。
その問いかけに対して「委託先の管理会社が行っている、毎月かな?」、そんな回答が返ってきそうだが…
「管理会社に任せているから」、そのように言われると、元業界人として有難い言葉に思えるのだが、管理会社が行う点検の実態は果たしてどうだろう。
建物点検は、専属の担当者が行うケースもあれば、フロント担当者、管理員が兼務するケースもある。専属とは、建物や設備に関する知識と経験を持ち合わせた専属部署の社員を指す。
中小企業の場合、フロント担当者がその点検を兼務するケースが見受けられる。大手管理会社の場合、専属の担当者もしくは現地の管理員が行うことが多い。
管理会社が行う点検は、技量もそうだが、点検の意義をどこまで理解されているのか、そこが重要になる。
この点検を疎かにすると建物の安全性や快適性を損なうことに繋がりかねない。ひとたび事故が起これば、ケアレスミスでは許されない。
屋上の点検から見えてくるもの
マンションの屋上は雑草だらけ、これは意外と多くのマンションで見られる。
屋上の排水溝に雑草が生えれば、排水溝の中に根がびっしり詰まって排水不良を引き起こす。そして大雨ともなれば屋上はプール状態と化す。これにより、屋上の防水の痛んだ箇所から水が入り込み、下の階へ漏水することもある。
仮に排水溝が詰まっても、防水の痛み(不具合)がなければ、そう簡単には水漏れというのは起きない。いずれかのチェックが欠けると水漏れの発生リスクは高まる。
事故を未然に防ぐ、そのために点検(チェック)は行われている。雑草をそのまま放置しているというのは、必要なチェックがなされていないことを意味する。
屋上の点検が年1回もしくは半年に1回、それは言い訳にしか聞こえない。管理組合が欲しいのは言い訳ではなく、状況に応じた提案である。と駆け出しの現役時代にお客様から言われたことをそのまま書いてしまった(笑)。
屋上に雑草が生える、それには兆候がある。結果の事象には必ず原因があるということだ。
屋上に鳥の糞や植物の種が落ちているのを見て、何も感じない点検者ならその段階で失格となる。なぜなら、鳥の糞の中には植物の種が混ざっていることが多いし、その種がやがて雑草へと成長する。
鳥の糞、木の実 = 屋上の雑草
屋上の点検の際は、ゴミ袋、ほうき、ちりとり、ヘラの4つは必要になる。
ここまで行う点検者はそうはいないだろう。私は管理会社時代に当たり前に実践していたことでもある(笑)。そうなるまでに数多くの失敗はあったのだが…(笑)
屋上というのは、普通に生活する中で人目に触れる場所ではないから、マンションの死角部分にあたる。逆にそこを確認することで、管理会社の良し悪しを窺い知ることができる。
雑草が生えていることを指摘して、フロント担当者から「点検時には無かった」「点検回数を増やしてほしい」「草取りの費用が別途必要です」…
指摘されてようやく気付く事実、後出しじゃんけんの提案、サービス精神の無さ…
あとは、自分たちで考えて欲しい。