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建物・設備関連

欠陥マンションはこうして作られる!

2017年5月7日

 

2005年11月に発覚した耐震計算書偽造の姉歯事件、2015年10月に発覚した横浜市内の杭施工データ改ざん事件、これは公表されている事件だが、水面下でマンションに関わる欠陥というのは数多く存在する。

そもそも欠陥とは、本来あるべきものが足りない、不備があるという意味なのだが、マンションで用いる欠陥というのは、人それぞれに解釈が異なる。

私の場合、法規に違反するマンション、パンフレットや図面などの記載内容と相違がある、これをマンションに関わる欠陥と解釈している。

この欠陥は、設計上、施工上、この2つのいずれかに要因がある。

今回、マンションの欠陥について語る。



設計上の欠陥

設計上の欠陥、参考となる例が姉歯事件であろう。

この事件では、構造計算書を偽装して耐震強度を実際より高く見せかけようとした姉歯元一級建築士のほかに、構造計算書の偽装を見抜けなかった指定確認検査機関、姉歯氏の構造計算によって多数の低価格マンションを建設・販売して急成長した不動産業者、建築施工業者など関連する業者の責任が次々と問題にされ、これらの関係者の多くが、刑事処罰まで受けた。

一般的に建築設計事務所では構造計算などの業務は行わない、それを専門とする構造計算事務所に依頼している。姉歯事件では、構造計算書は姉歯氏自らが作成していた。

構造計算書というのは、百ページ程度の分厚い書類になる。マンションに携わっている人間が見ても理解できない。これは大半の一級建築士にも言えることだ。理解できるのは構造計算に直接携わっている者だけだ。

このような状況下で偽造は繰り返し行われた。誰も見抜けない、これが課題として今もなお残る。

 

施工上の欠陥

施工上の欠陥、参考となる例が横浜の杭施工データ改ざん事件である。

実際に「建物の傾斜」という実害が発生している点において、重大かつ深刻な問題としてニュース等に取り出たされた事件だ。

建設時の杭打ち工事で、建物の基礎となっている複数の杭が強固な地盤に届いておらず、杭打ちのデータに別の工事のデータが転用されていたことに加え、セメント注入量まで偽装されていたことが明らかになった。

施工上の欠陥には、竣工図書との相違というものがある。これが実際に多いのだ。

図面には記載されているのに内断熱が施されていなかったり、床スラブの厚みが記載された寸法より薄かったり、配線・配管の経路が違っていたり、電気の幹線ケーブルが記載されたサイズより細いものが使用されていたり、図面との相違点というのが本当に多い。

これらは、数年後に色んな事象となって発覚する。ひとつずつ解説する。

断熱が施されていない

内断熱の施工が施されていない、これは結露やカビの発生により発覚するケースが多い。実際に壁を叩いてみると素人でも分かる。内断熱が施されていれば、太鼓のような音がする。内断熱が施されていない場合は、コンクリートの表面にクロスを貼っているから固い感触だ。

外気に面する壁は、一般的に内断熱が施されている。マンションによっては外壁(外側)に施されているケースもある。気になるようなら竣工図面で確認するといい。竣工図面は管理組合が持っているはずだ。分からなければ理事長もしくは管理会社に聞くといい。

補足だが、太鼓のような音がしても結露やカビがひどい場合は、内断熱材が所定量もしくは入っていない可能性が高い。その場合、壁を開けて確認する必要がある。そこから先は自己判断に委ねる。

床スラブの厚みが薄い

床スラブ厚が薄いと上階の足音などを感じる。古いマンションの床スラブ厚は150mmから180mm程度、現在のマンションは200mm程度、230mm、270mmの床スラブのマンションもあるが、厚みがあるほど遮音性が高くなる。ボイドスラブの場合は、標準で300mmある。

150mmから200mmの床スラブ厚は上階の足音が気になる。

この床スラブというのは図面通りの厚みなのか、目に見えるものではない。

実際に床スラブを測ってみたら規定の厚みがない。これは私の知人のマンションで起きた実際の出来事である。スーパーゼネコン某社が施工したマンションでこのような欠陥が見つかった。

上階の騒音にしびれを切らした知人は、スラブ床の調査に至った。その調査でその欠陥が見つかった。こういうことが実際に起きているのだ。

配線・配管の経路が異なる

電気の配線、給排水管など配管の経路が図面表記と異なるケースがある。図面と配管の相違により、実際に裁判まで発展したケースもある。

発覚するのが何らかの理由で行った工事のときだ。誤って電気配線を切断し、そして停電に至る。図面上の経路と異なる場所に配線が引かれ、作業員が誤って配線を切断するという事故だ。

給排水管も壁内、床下、天井、地中に隠ぺいされているから位置確認は図面でしか分からない。この図面が当てにならないケースも多い。開口してみると配管が見当たらない、地中を掘削しても配管が出てこない、無駄な工事が発生してしまう。

特に隠ぺい部分は図面を見なければ位置関係が分からない。こういう事例もあるので知っておいてほしい。図面を当てにしない、慎重に工事を行う、これにより事故も未然に防げる。そしてデべロッパーには再三指摘する、これは必須だ。

電気の幹線ケーブルのサイズが細い

図面に幹線ケーブルのサイズが記載されている。このサイズが図面と異なるケースが過去にあった。竣工後、最初に行った共用廊下のポリッシャーによる清掃の時にそれが発覚したのだ。

ポリッシャーとは、床などを洗浄する電動式の機具のことだが、共用廊下の床を洗浄する際、このポリッシャーを用いるケースが多い。電動式だから電気が必要になる。共用部分の電気を借りて作業を行うのだが、共用廊下に設置されている電気コンセントに差し込んで作動させてもポリッシャーが動かない。動いてもすぐに止まる。

施工した電気工事会社に調査させたが原因が掴めない。そこで私の知人に頼んで調査してみると、ケーブルが図面に記載されたサイズと異なっていることが分かった。実際には細いものが使用されていたのだ。これが原因でポリッシャーが作動しなかったのだ。

それを施工会社、電気工事会社に指摘すると直ぐにケーブルの差し替えが行われた。自らの調査で見抜けなかった電気工事会社はそのことを知っていたとしか思えない。知人に聞くと電気工事業界ではよくある話と聞き、唖然とした。

このような欠陥があることを是非知っておいてほしい。



販売上の錯誤

敢えて欠陥とは書かない。業界人が読まれたら「それは違うだろ」と指摘されそうだから、やわらかい錯誤という言い方にしておく。

販売時にもらうパンフレット、そして営業マンの説明、見たり聞いたりしたものと実際の物が異なる、これはよくある話だ。

パンフレットも商品の詳細が記された図面に匹敵する書面だ。マンションの意匠、仕様、そしてマンションに備え付けられた設備の機能説明などが書かれているのだが、この記載された内容と実物が異なるケースがよくある。

その食い違いを前提に、パンフレット内に小さな字で「実際の物とは異なる場合があります」など、法的に逃げれる文言が加えられている。

小さな字には本音の部分が隠されている。小さな字ほど「よく読め」と言われのはまさにこのことだ。

これは一定のものに限られる、例えば構造に関わる記載は、曖昧な表記では困る。

パンフレット、施工図面(後の竣工図面)、購入者に提出する書類は全て整合性がなければならない。いずれも食い違いは許されない。

だが実際にこのパンフレットの表記内容と施工図面との相違が起こることは否めない。

マンションプランというのはマンションデべロッパー、施工会社、設計事務所の三者間が共有しなければならない。この三者間でいずれかに食い違いがあれば、そこに欠陥が生まれるのだ。

販売に先駆けパンフレットが作成される、これはマンションデべロッパーが広告業者に依頼して作成される。施工図面は設計事務所が作成する。作成者が違うということは、食い違いが起こる可能性があるということだ。

 

 

営業マンの説明の言った言わないでトラブルになることが多い。営業マンの多くはマンションの詳細をよく理解しきれていない。中途半端な知識だから購入者とトラブルを招くのだ。

営業マンの説明を鵜呑みにしてはいけない。知っているように見えるが実は知らない。そんな営業マンが多い。分からないことがあれば「調べて後で連絡します。」これを素直に言える営業マンなら信用できよう。嘘は言えない。これが顧客を大切にする営業マンの本来あるべき姿だと思う。

 

マンションの欠陥というのは、ネット上に多くの情報が溢れている。実際に建物が傾いている、地盤沈下している、塀が傾いている、横浜の事件がクローズアップされたが、欠陥に価するマンションは意外と多く存在している。

少しでも気になるところがあれば、早めに第三者に相談するといい。相談先として、国土交通省の所管する公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターなどがある。下にリンクを貼っておく。

公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター

 

 


 



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