修繕工事などの見積書を確認する際に、金額の方にだけ目が向けられ、数量というのは軽視されがちです。実は数量というのは、金額の算定の基準になるため、とても重要なんです。
数量×単価=工事金額
今回、その数量の必要性について語りたいと思います。ネット上にあまり掲載されていない情報なのできっと参考になると思います。
数量に隠された秘密
大規模修繕の際に、工事項目、工事仕様、そして工事項目に関わる数量が必要になります。設計監理方式の場合、その3つをコンサルタントが決めます。これを基準として施工会社から見積書を取り寄せます。
工事金額は、前述の「数量×単価」で算定されますから、施工会社毎に工事単価が異なりますので、当然に見積金額に差異が生じます。ここまでは理解できると思います。
ここで注意したいのが数量です。基準となる数量というのは工事金額に大きく影響を及ぼします。それは計算式から見て取れます。
コンサルタントが積算した数量だから間違いない、ほとんどの方がそのように感じていると思います。ですが、実際の数量と異なっている、これが実情として多々見受けられます。
堅実な施工会社は、コンサルタントが積算した数量を鵜呑みにしません。なぜなら、数量は間違っている、それを知っているから自社でも積算を行います。
実際の数量(正確な数量)よりも見積り数量(コンサルタントが積算した数量)の方が多いのが通例となっています。
これは外壁塗装以外の工事項目にも言えることです。
数量を少し多めに積算するのには理由があります。数量が不足すると追加請求が生じたり、そこで管理組合とトラブルになるからです。
ここでいう少しとは、許容誤差の範囲という意味になりますが、実際にはこの許容誤差をはるかに超える数量が用いられることがあります。特に外壁補修の数量に多く見受けられます。
多めの数量に単価を掛けて工事金額を算定するとしたら、割高な工事金額になりますよね。もととなる数量が違っているとしたら工事金額も間違いになります。
多め(ふかされた)数量、この段階で割高工事ということになります。
全ての数量が間違っているとは言いませんが、実際にこのようなことが起きていることは事実であります。
このふかされた数量って悪用することができます。コンサルタントと施工会社が癒着(談合)している場合、施工会社は数量が実際よりも多いことを知っているから工事単価を敢えて低く抑えることができます。
それを知らない施工会社は、そのままの工事単価で見積りますから、前者と比較した場合、割高な見積金額になります。そこで施工会社を選定するとどうでしょう。管理組合は意味のない不公平な選定に時間を費やすことになります。
施工会社とコンサルタントの癒着(談合)というのは本当によくある話です。コンサルタントが特定の施工会社に積算を依頼されるケースがありますが、この段階で既に談合の疑いがあります(詳しくはこちら👇の記事)。
施工会社が積算する数量は実際の数量と異なるケースが多いから、そこには仕組まれた策略が存在したりもします。
数量の信憑性が低ければ、正しい工事金額など導き出せないということです。このブログ記事で伝えたかったのはそこです。
コンサルタントに依頼する前に、複数の施工会社に見積りを取り寄せれば、各社数量が異なることに気付きます。そして、どの数量が正しいのか困惑するでしょう。
なので、正確な数量を積算するというのはとても重要な作業になります。この作業をコンサルタントに依頼していることを皆さんは知っておくべきです。
コンサルタントの手腕というのはこの数量でも試されますし、数量によって工事金額というのは大きく変わります。このことを是非知っておいてほしいです。
長期修繕計画に用いられている数量も同じことが言えますよ。