タワーマンションとは、20階建て高さ60m以上の超高層マンションのことを指しますが、法律などで定義付けされているわけではありません。
1997年の建築基準法改正により、容積率や日影規制が緩和されたことを受け、2000年に入り超高層マンションの建設が一挙に加速しました。
2015年頃から、タワーマンションの大規模修繕に関する話題がマスコミなどに取り上げられ、修繕積立金の不足や大規模修繕の難しさなどを問題視する報道が目に付きます。
実際のところ、タワーマンションの大規模修繕の歴史というのはまだ浅く、そこに色んな問題が浮上するのは当然のように思えますし、修繕積立金の不足に関わる問題はタワーマンションに限らず、他のマンションにも言えることです。
私の知人は、都内のタワーマンションの31階に住んでいますが、そのマンションは今年大規模修繕を行う予定で、話を聞くと色んな問題を抱えています。
特に仮設工事の足場の問題で、低層階と高層階の住人さんの意見が食い違い、中々話が纏まらないと嘆いていました。
一般のマンションでは、通常の足場(枠組み足場)を使用しますが、タワーマンションでは上階までこの足場を組むことはできません。45m(14階程度)までは枠組み足場、その階数を超えると特殊足場(ゴンドラ足場または移動式昇降足場)を用いることになります。
枠組み足場
ゴンドラ足場
移動式昇降足場
この枠組み足場で大規模修繕を経験している住人さんなら理解できると思いますが、工事期間中、養生シートや足場に囲まれた中での生活は不便です。
洗濯物を干す際に制約があったり、室内が暗く、作業員の方が足場を行き交うからカーテンを開けられない日々がしばらく続きます。
一方、特殊足場の場合、枠組み足場とは違い、住戸付近の工事の時以外は普段通りの生活ができます。(特殊足場を設ける際に区画一帯に養生シートを張る場合は生活に支障がでます。)
マンション全体が同じ環境下にあれば不満は生じませんが、タワーマンションのように枠組み足場と特殊足場を併用する場合、低層階と高層階の生活環境において不公平さが生じます。
知人の住んでいるタワーマンションでは、仮設工事の計画にあたり前述の不公平感を巡り、住人間で揉めているようです。
タワーマンションの修繕積立金は、マンション価格のように低層階と高層階に違いがあるわけではなく、部屋の広さが同じであればどの階も同じです。
そこで同じ修繕積立金を支払っているのに、生活環境の違いに不満の声が上がるのは当然のように思えます。
タワーマンションの大規模修繕はまだまだ歴史が浅いので、これから管理組合は色んなことを学んでいくと思いますし、工事関係者もまた色んな失敗を重ね、そこから新たな工夫や施工技術が生まれると思います。