最近、ネット上に掲載されている外壁診断などの記事を拝見していると、「ドローン調査」という言葉をよく見かけます。
10年くらい前に「赤外線調査」が普及し始めましたが、最近ではドローンを活用した建物の調査診断が普及しつつあります。
今回、このドローン外壁調査診断について、個人的な意見を交えながら皆さんにお伝えしたいと思います。
ドローンとは
ドローンとは、GPSやカメラ、高性能コンピューターなどを搭載し自動で操縦できる「自立型無人機」を指します。
ドローンは、偵察などの無人機として開発され、主に軍事用として利用されてきましたが、近年では「産業用」「商用」「娯楽用」として広く活用されています。
ドローンを使って出来ること
外壁面の打診調査においては、足場やゴンドラなどを用いなければ、全体的な調査は行えませんし、そこで相応に日数が掛かり、多額の出費は避けられません。
そこでドローンを飛ばして、カメラによる外壁調査ができるとすれば、足場などを組む必要がないため、調査に掛かる日数、そしてコストは削減できます。
ドローンに赤外線カメラを搭載すれば、水平面から赤外線調査が行えるので、従来の地上からの角度で調査するよりも精度は高くなります。またドローンの活用により、隣接した構造物があっても赤外線調査の出来る範囲が広がることが期待できます。
特殊建築物定期調査の全面打診調査においても、代替手段として赤外線調査が認められていますので、特にタワーマンションの超高層建築物においては、利用価値は高いと言えます。
ただし、実際にそのマンションでドローン調査が行えるかは別問題です。
ドローン調査は普及するのか?
大規模修繕の工事会社、建物診断を専門とする企業や大手警備会社など、最近ではドローン調査をアピールする企業が増えています。
しかしながら、マンションでこの調査を行うにあたり、色んな問題が生じます。安全性はもちろんですが、そのマンションの住民、そして近隣住民への配慮は欠かせません。
プロペラの騒音、カメラに映し出されるプライバシーに関わる問題など、関係する住民へ事前に説明を行い了承を得る必要がありますし、航空法の制限や建物付近では電波(GPS)が届きにくいとか飛行に伴い電波障害が生じるなどの課題が多いようです。
既にタワーマンションでこの調査が実施されていますが、そこを踏まえれば、これから徐々に普及していくものと思われます。
しかしながら、大手警備会社のドローン調査の価格を見ると、2日間(2名体制)で100万円を超える価格になっています。調査報告書の作成に数日掛かるにしても、個人的にはとても高く感じます。
これからドローン調査ビジネスに参入する企業が増えるものと思われますが、そこで多くの管理組合が利用できるような価格帯になることに期待したいですね。