内覧会の住戸内チェック
新築の分譲マンションを購入したら、引渡し前に内覧会というデべロッパー主催のイベントがある。
このイベントの中に住戸内のチェックがある。施工会社が一緒に立会って仕上がり具合などを確認するのだが、このチェックは厳重に行うべきだ。
建物は人の手で作られるから完璧に仕上がることはない。仕上がりの評価も人によって個人差がある。だから引渡し前に個別チェックが行われるのだ。
仕上がり具合、小さな傷、凹みや汚れ、床や扉のたわみやきしむ音、扉の開閉状態などチェックすべき箇所はたくさんある。
施工会社は購入者から指摘された箇所しか手直しは行わない。それに引き渡し後は、軽々と手直しには応じない。何かと理由をつけて施工会社が対応を拒むシーンを私は数多く見てきた。
なので、チェックは厳しく行い、遠慮せずに気になるところは全て指摘しておこう。
それともうひとつ伝えたいことがある。不動産業界というのは言った言わないで揉める業界だ。だから、施工会社が書き記した「手直し箇所のチェックリスト」の写しはもらっておこう。指摘した個所の手直しの確認が行えるし、後の証拠にもなる。
アフターサービスの住戸内チェック
マンション引渡し後、半年、1年、2年といった区切りで住戸内の点検(チェック)がデべロッパーにより実施される。この点検周期、回数はデべロッパー毎に異なる。
アフターサービスには基準が設けられている。対象部位ごとに適用年数と適用事項が定められている。この基準が記載された書類(アフターサービス規準書)は、引渡し時に取扱説明書と一緒にもらえる。
この点検は、入居者自らが単独で行い、気になる箇所があれば所定のチェックシートに記入する、この方法が一般的だ。
新築時のチェックでは気付けなかった隠れた箇所の不具合、設備の不具合、動作不良、機能不良、開閉不良などが対象となる。
引き渡し後に生じた傷や凹みなど使用上の不注意、過失に起因する不具合は対象外となる。引渡し前のチェックで見落とした箇所も一般的には手直しは行わない。だから引渡し前のチェックは厳重に行うことが大切なのだ。
アフターサービスの共用箇所チェック
アフターサービスの住戸内のチェックはその住戸の所有者が行うが、マンションの共用部分、共用設備のチェックは管理組合が行うことになる。
アフターサービスは引き渡し後2年間という規定になっているが、共用箇所は最初の購入者へ引き渡した日が起算日となる。
このチェックで注意すべきことがある。
本来、管理組合が共用個所のチェックを行うのだが、実際には管理会社主導(管理会社任せ)で実施されている。そこに間違いがある。
デべロッパーから指定を受けた管理会社は、デべロッパーはお得意様だから頭が上がらない。当然チェックが甘くなる。特にデべロッパー系の管理会社は、デべロッパーの同族企業だから不具合箇所を発見しても知らぬ振りをする。
それに管理会社の多くは手直し後のチェックは行わない。それを知ってか施工会社の手直しは、いい加減さが目に付く。
こちらが指示しない限り、お金のかかる手直しはまずしない。クラック補修もほっとけばタッチアップ(表面を塗るだけ)で終わってしまう。
共用部分にあたっては、本当にいい加減な手直しが多い。
だから、管理会社任せにしてはいけない。管理組合が主導権を握ることが重要であり、チェック体制の強化が課題となる。
自分達でチェックできないようであれば、マンション管理士事務所に相談してみるといい。目利きのプロを紹介してくれるかもしれない。ただし、その場合は有償になるだろうし、事前に予算承認を得る必要があろう。第三者による厳重チェック、いい加減な手直しを避けられるので相応の見返りは期待できるだろう。