マンション大規模修繕の進め方には大きく3つある。
▶ 責任施工方式
▶ 管理会社主導方式
始めて行う大規模修繕であれば、ノウハウを持たない管理組合にとって設計監理方式が最も理想であり、実際にこの方式が多く用いられている。
2回目以降の大規模修繕は、1回目の経験値があるから責任施工方式がコスト面で理想といえる。いずれにしても管理会社主導方式だけは絶対にやめといた方がいい。
設計監理方式とは
設計監理方式は、設計監理と施工を分離する方式をいう。一般的に設計監理は、設計事務所や大規模修繕のコンサルタント会社がそれを担う。
建物の劣化診断から改修設計を行い、工事段階で監理を行うことになるが、メリットとして第三者による厳正な工事品質のチェックが期待でき、透明性のある施工会社選びができる点だ。
専門知識を持たない管理組合にとって、最も好ましい方式といえよう。
デメリットとしては、設計監理料が別途発生するため、コストが嵩むことになる。
コンサルタントによっては、管理組合側の立場で施工会社と交渉して工事費を抑えることもできる。だがしかし、そこには業者間の癒着・談合といった不正がないことが前提となる。
責任施工方式
施工会社に劣化診断、改修設計、工事の全てを一任する方式をいう。
メリットとしては、設計監理料が不要でコストを集約できる点だ。デメリットは、その施工会社に一任するので、第三者チェック機能を持たない点だ。
信用できる施工会社が前提となるが、工事実績や会社の信用調査を行う必要がある。信用調査といっても、建設業の格付けを調べればいい。施工会社に直接聞けば教えてくれるだろう。
管理会社主導方式
管理会社が劣化診断、改修設計、工事の全てを一任する方式をいう。
昔はこの方法が多く用いられていたが、様々な問題が浮き彫りとなり、年々減少している。
メリットとしては、マンション管理での付き合いがあるので安心できるという点だろう。デメリットは工事費が割高になる点だ。
何度も言うが、この方式は絶対にやめといた方がいい。
管理会社はマンション管理が専業であって、大規模修繕は本業ではない。建設業登録は金儲けのために取得しているようなものだ。
ノウハウを持たない管理会社が背伸びをし過ぎる。だから、失態したときに管理会社まで変えられることになるのだ。
管理会社は施工会社と癒着がある。なぜなら、管理会社に群がる施工会社がたくさん存在するからである。
とにかく工事費を叩いて自分達の取り分(利益)を多く確保するやり方が主流である。工事費を叩けば仕様は落ちる。場合によっては手抜き工事が生まれる。
現場監理ができない管理会社が果たしてその手抜き工事を見抜くことができるのか、甚だ疑問である。
管理組合は管理会社1社では決めないことを知っている。だから管理会社は事前に息のかかった施工会社から相見積りを取り寄せる。そして管理組合に提出するのだ。
裏では工事費の談合が行われ、管理会社が受注できるように仕向ける。管理会社の見積り額が一番安ければ、管理組合は付き合いもあるから管理会社に決めてしまう。
このことを知っているから談合が行われるのだ。安い=高い、これを知っておかないと結局は管理組合が損をすることになる。
相見積りはいくらでも金額調整できることを知っておくといい。
どうしても、管理会社に工事を依頼したいのなら、自分達で施工会社を探して相見積りを取ることが必須といえよう。
こんな設計監理方式はいらない
コンサルタント会社を選ぶ際は、施工会社、管理会社との癒着がない会社を選ぶことが重要である。
そして、大規模修繕は業者間の癒着・談合が多いことを知っておくべきである。
施工会社を紹介するようなコンサルタント会社はやめた方がいい。健全なコンサルタント会社は、疑われることはまずしない。
設計監理というのは一級建築士の資格がなくてもできる。ここでの注意点は、現場経験を踏んだコンサルタント会社でないと意味がないということだ。
設計事務所は設計には詳しいが現場に不慣れな方が意外と多い。工事の詳細を把握しきれていない。
例えば材料の良し悪し、防水や塗装などの施工方法など詳しくは知らない。
現場を知らない設計事務所が多い、知っているようで実は知らない。
屋上防水の工法を細かく説明できる設計事務所であれば安心できよう。
設計監理方式を用いた管理組合の感想で多いのが「あまり意味がなかったね」ではないのか。この手の話をよく耳にするのだが、現場ノウハウを持たないコンサルタント会社であれば、ただの金食い虫に終わってしまう。
手抜き工事を生じさせない厳正な工事監理が行えるコンサルタント会社であってほしい。