1回目の大規模修繕では主にコンクリート躯体の修繕、外壁や鉄部の塗装部分の塗替え、屋上防水の補修、床防水の補修、シーリングの取替などが基本となります。
2回目の大規模修繕は、築後20年を超えるため、1回目の時に修繕対象にならなかった各種金物の取替え、建具の補修や取替え、設備の部分交換や更新などが新たに加わります。
一般的に1回目よりも2回目の方が工事金額が増えると言われています。前述の追加箇所が加わるから当然に工事金額は増えますよね。
この一般論は、あくまで同じやり方の場合、そこに釘を刺しておきます。
1回目は設計監理方式が多い
1回目の大規模修繕の時に設計監理方式で実施する管理組合が多いのが実情です。最初の大規模修繕は、どのように進めたら良いのか分からない、それが主な理由になります。そこで一級建築士などのコンサルタントを入れて、技術的なサポートを受けながら進めていくのが慣習化されています。
設計監理方式にすると設計監理料(コンサルタント料)が発生しますが、1回目については、教えてもらうことへの対価だと私は考えています。押し付けになってしまいますが、1回目は高い授業料を払い経験を習得する。そして2回目以降は、1回目で培った経験を活かす、この考え方が大切だと思います。
そこで2回目は、1回目の経験値があるので、設計監理方式ではなく責任施工方式を推奨します。この責任施工方式を推奨するのには理由があります。前述の「釘を刺す」、この意味がそこに隠されています。
2回目は設計監理方式は不要!
皆さんご承知かと思いますが、近年設計監理方式における癒着・談合に関する問題が新聞社などのニュースに取り上げられ、悪態ぶりが知れ渡りました。国土交通省でもこの件に関して、以前に注意喚起がなされています。
1回目の大規模修繕は設計監理方式で行う管理組合が多いのですが、2回目にあたって考えるべきことがあります。それは、1回目の大規模修繕の工事金額が果たして適正だったのかという点です。
前述の1回目よりも2回目の工事金額は増える、同じやり方だと増える、この意味を皆さん正しく理解してくださいね。
1回目の大規模修繕の時に業者間の癒着・談合が仮に存在していたとすれば、その大規模修繕は割高工事になっています。それを知らずに1回目よりも2回目の工事金額は増えるという認識が伴えば、それは実に怖いことです。
仮に2回目も同様の設計監理方式にするとしたら更に金銭的な負担は増えますよね。私が言いたのは、安易に1回目と2回目の比較はすべきでないということです。
1回目の工事金額が適正なものだとすれば1回目と比較することはやぶさかではありません。ですが、1回目の工事金額が不当なものだとすれば、もう言わなくても分かると思います。
1回目の経験を活かして、2回目は責任施工方式を選択している管理組合が増えているように思えます。少しでもコストを抑えたいとか、コンサルタントを入れてもあまり意味がなかったという意見がそこにあったりもします。
施工会社選びさえ失敗しなければ、競争原理を取り入れた責任施工方式は理想だと言えます。極論を言えば、マンションの修繕のことをいちばん理解しているのは施工会社です。
経験豊富な施工会社は、施工後の手直しなどで色んな失敗を経験しているから、材料の良し悪しとか現場に見合うものをよく知っています。
施工会社を選ぶ際は、公募とはいえ横の繋がりがあるので注意が必要です。そこにも癒着・談合が存在したりもします。
私は決して設計監理方式がダメだと言ってるわけではありません。癒着・談合がダメだと言ってるだけですから。コンサルタントの中には癒着・談合には一切乗らない真面目な方もいらっしゃいます。私の知る限り稀ですが。
設計監理を依頼するのなら、癒着・談合をしないコンサルタントにお願いしましょう。誠実なコンサルタントがもっと増えることを期待しています。