マンション管理組合の形骸化とか理事会の形骸化ってよく耳にしますが、なぜ形骸化が生まれるのでしょう。今回、これについて考えてみたいと思います。
目的と自発的意思について
そもそも団体・組織には、必ず目的というものがあり、それは自発的意思によってつくられます。団体の例を挙げれば、民間企業、NPO法人、ボランティア団体、政治団体、宗教団体、行政機関などがあります。中には天下り団体、外郭団体、?が付く団体も存在しますが…
団体・組織を結成するには「目的」「自発的意思」、この2つは欠かせません。そう考えるとマンションの管理組合という団体はどうでしょう?
管理組合の目的とは
管理組合という団体に関しては、区分所有法第3条にこのような記述があります。
区分所有法第3条(区分所有者の団体)
区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。
管理組合の目的は、条文の中にある「建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体」ということになります。
法律によって作られた団体、それが管理組合になります。
自然に起こる形骸化
管理組合というのは、複数の所有者がそのマンションに生じた瞬間から必然的に誕生します。なので、そこには「自発的意思」は存在しません。
マンションを購入される方の目的は、そこに住む、人によっては他人に貸して収益を得る、そこには個々人の目的はありますが、管理組合としての目的など存在しません。
法律に掲げられた目的というのは、個人がその必要性に気付かない限り、意識することはないと思います。
マンションの管理は管理会社が行ってくれる、実際に支障なく生活が送れているのなら、それが当たり前に思えるでしょうし、その目的に気付かないまま10年、20年という長い年月が経過します。これにより他人依存型の管理組合が恒常化されます。
管理会社に起因する形骸化
管理会社のホームページなどで、「マンション管理は管理組合が主体である」、このフレーズをよく見かけますが、その思いとは裏腹に管理組合の形骸化はなぜ起きるのでしょう。
管理組合が主体と言っておきながら、管理会社はマンション管理のやり方について「教える」ことをしていません。そう、大事なことができていないからです。
管理組合が主体性を持つ、そして知識を得ることで、管理会社にとって都合の悪いことばかりが生じます。管理組合からの要求が増え、仕事が増え、工事はもらえず、そして文句ばかり言われ、嫌になることばかりです。
だから大事なことは教えたりはしません。失礼な言い方になってしまいますが、管理組合が無知な方が管理会社にとって都合が良く存在意義が高まります。なので、管理会社の存在が管理組合の形骸化を助長させているといっても過言ではありません。
管理組合の存在意義に気付くとき
前述の「法律に掲げられた目的」というのは、マンションを所有されている皆さんで管理を行うという意味合いになりますが、それに気付くときがいつか必ずきます。
▶ 理事になって気付く
▶ 監事になって気付く
▶ デべロッパーと揉めたときに気付く
▶ 設備の不具合が生じたときに気付く
▶ 管理会社の見積書を見て気付く
▶ 他社から見積もりを取り寄せたときに気付く
▶ 赤字の決算書を見て気付く
▶ 居住者間のトラブルが生じたときに気付く
▶ 台風後に気付く
▶ 大規模修繕のときに気付く
▶ 対応が遅いときに気付く
気付きと言えば、私の管理会社時代に多くの失敗を経験しました。そこで凹むことも正直多かったですね。でも色んなことに気付かされました(笑)。
最初に誰かが気付き、それに感化されて二人、三人とそれに気付く人が増えます。そして、自分たちのマンションは自分たちで真剣に考えなくてはならない、そこでようやく管理組合の本当の目的に辿り着きます。
色々と好き勝手なことを書いてしまいましたが、管理組合という組織について、何か考えるきっかけになれば幸いです。
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