管理組合の役員を決める際、一般的に「輪番制」という方法が用いられていますが、役回りは平等に、この考え方が根底にあります。
しかしながら、輪番制と言っても具体的にどうやって決めるのか、そこで話が纏まらない、そんな管理組合が意外と多く存在します。
今回、この輪番制について、私の管理会社時代の経験、そして私の住んでいるマンションの経験を基に語らせていただきます。
輪番制には3つの方法がある
そもそも輪番制とは、順番を決めて持ち回りで事にあたることを意味しますが、最初の役員をどうやって決めるのか、どういった順番にするのか、そこが大変なんですね。
輪番制には大きく3つの方法がありますが、どの方法を用いるかは、階数とか階毎の住戸数、役員数などによって変わってきます。
縦割り方式
この方式は、各階から1名、管理組合役員を選出します。
各階の意思が物事の取り決めに反映されるので一番良い方法に思えます。
普段生活する中で、同じ階以外の方とコミュニケーションを図る機会は少ないと思いますが、そこでを互いを知ることができる、それもメリットと言えます。
横割り方式
この方式は、特定の階から役員を選出します。
同じ階なので近所のよしみがそこにあったりもします。遠くの親戚より近くの他人ということわざがありますが、身近に居るから頼りになります。
横割りは一見すると理想のように思えますが、お隣り同士が仲が悪いと意見の対立が生じたりもしますし、それに偏った意見になりがちです。
例えば、1階の方ばかりで役員が構成されると、エレベーターの修繕の際に「私たちはエレベーターを利用していないから」、そんな消極的な姿勢になりがちです。そこでエレベーターをよく利用される上階の方との温度差が生じ得ます。
特定号室からの順番方式
この方式は、特定号室を決めて、その号室から役員を順番で選出します。
この方法は、新築マンションの輪番制で多く用いられている方法です。いずれ役員の順番が回ってくるから、そんな勢いでこれに決まるケースが多いですね。ただし、特定号室を決める際にこのあたりくじを引いてしまうと、近い号室の方から陰で恨まれます(笑)。
全ての方式にいえることは、最初に昇順、降順(上下、右左の順)を決めることがポイントになります。くじを引く前に順番を決めておくと揉める心配はありません。
縦割り方式の場合、階数と役員数が異なるケースでは、例えば1階と2階を1つのブロックに纏めるなど工夫が必要になります。
横割り方式の場合ですと、各階毎の住戸数と役員数が異なるケースでは、不平等さが生じないよう工夫が必要です。これが難しいからあまりお勧めはできません。
輪番制の見直し
最初に決めたルールが色んな事情で見直されることがあります。
賃貸に出される住戸が増えた、高齢者から役員辞退の申し入れが増えたなど不平等さが生じたり、地域の町内会(自治会)役員の選出との兼ね合いで、二重に負担が増えるなど輪番制のルールが見直されるケースがしばしあります。
もちろんルールは途中で変更できますが、完全に平等にすることは容易ではありません。できるだけマンションの実情に見合った最善策を検討してみてください。
ちなみに私の住んでいるマンションでは、縦割り方式を採用しています。役員の辞退者、外部オーナーには月額の協力金をもらっています。
成人のお子さん、配偶者、本人もしくは配偶者の両親、外部オーナーの方も役員になれますので、協力金が功をそうして意外と役員の成り手はいます。