私はこれまで多くのマンションの理事会、総会という行事に参加させていただき、色んな会場をみてきました。実はこの会場の設営方法って重要なんです。
会場の設営の仕方によって、話し合いの雰囲気とか意見の内容が違ってくることを経験を通じて知り得ました。これは企業の社内会議とかセミナーにも言えることです。
今回、この会場の設営方法について語らせていただきます。
会場の設営方法
会場の設営方法には、対面型(教壇方式)、コの字型、ロの字型などがあります。
▶ 対面型(教壇方式)
この対面型の代表例が学校の教室である。
対面型(教壇方式)
セミナーなどの講義においてもこの設営方法が採用されている。
▶コの字型、ロの字型
会社の社内会議、ミーティングや話し合いを行う際に用いる設営方法である。
コの字型
ロの字型
この設営方法は、会場の広さとか参加者の数、会議の目的などによって違ってきます。
管理組合の会議においては、委託先の管理会社が設営を行ってくれるから、設営方法に気を遣うことはないと思います。もし仮に自分たちで設営するとしたら、どのようにしたらよいのか考えますよね。
会場というのは、自分たちの話し合いの場になります。なので、自分たちが話しやすいように工夫することが肝要です。「自分たちが話しやすい」、ここがポイントになります。
管理会社に設営を全て任せると設営者の都合によって設営がなされたりもします。主催者は誰で何を目的とする会議なのか、そこが欠けている会場をこれまで多くみてきました。
管理会社は、そこを理解せずに設営しているという実情があります。
主催者は理事会であって管理会社ではありません。管理会社が主催者、理事会はゲスト、そんな会議は意外と多く存在します。
それとは違い、会場設営を理事長を含めた理事たちが率先して行っている管理組合もあります。そこには自分たちの話し合いの場という考え方が強く存在します。
管理会社は会場設営を補助することはあっても、設営を仕切る権限はありません
し、管理会社は主催者ではなくゲストです。そこを知っておいてほしいです。
対面方式とコの字型、ロの字型の違いが分かりますか。話を聞くのが対面方式、互いに相手の顔が見て話し合うがコの字型、ロの字型です。
対面方式の代表例になるのが学校の教室です。先生(話して)と生徒(聞き手)の配列で互いに向かい合う恰好になっています。教えることが目的になりますので、生徒同士が向き合う必要はありません。授業内容によっては向き合う配列もありますが…
これはセミナーや講演会、コンサートにも言えることです。
コの字型、ロの字型は、互いの顔が見れる配列になります。管理組合の会議ではこの配列が理想です。なぜなら「参加者全員で話し合う」、これが会議の目的だからです。
互いに顔を見合わせることで良識のある意見が増えます。逆に対面方式の場合、互いの顔が見えないので良識に欠けた意見が出たり、中には相手を誹謗中傷する意見が出たりもします。
対面方式は顔が見えない分、言いたいことが言える環境を作りやすいってことです。
コミュニケーションは相手の顔を見て話すことが大切ですよね。そこで、コの字型、ロの字型は理想と言えます。
対面方式で最悪な例を挙げれば、管理会社とマンションの所有者が対面する配列で、特に理事会で散見されます。
話し手が管理会社、聞き手が理事会という環境下に陥りやすく、管理会社都合で物事が進んだり、結果として管理会社任せを生んでしまいます。
これでは何の目的で理事会を開催しているのか意味を持ちませんし、管理会社のための理事会ではありません。
過去にこんなケースがありました。私の建設会社時代にとある理事会で大規模修繕の工事説明を行ったときの話になりますが、新たに監事に就任された方から理事会が始まった途端、管理会社に対して「貴方の座る場所はそこではないでしょ」と言われ、理事会の場が一瞬凍り付きました。
これは対面方式に対する指摘でした。そしてテーブルと椅子の設営がその監事の指示でロの字型に変えられました。「この方が話し合いにはふさわしい」、その言葉が今でも私の記憶に残っています。
理事会終了後にその監事さんと話をする機会があり、その時に色んな話を聞かされました。その方は会社の経営者でいくつもマンションを所有されていて、設営方法には気を配る方でした。そして自分のマンションの総会、理事会に出席されたとき、この対面方式に疑問を感じたそうです。
私の所有するほとんどのマンションは管理会社が支配している。それではマンションは良くなるどころかお金を食い潰されるだけだ。会場設営も非常識にもほどがある。その監事さんから色んなことを聞かされ、まるで自分が説教されているような感じでしたね。(笑)。
設営の仕方によって、会議内容が大きく変わることがあります。規模の大きなマンションでは、コの字型、ロの字型の設営は難しいかも知れませんが、僅かでも工夫は出来ると思います。そこを考えるのが理事会の役割だと感じます。