マンションの現状について確認し合う、マンションの課題について話し合う、そしてマンションの将来について語り合う、それが管理組合の総会ではないだろうか。
そこには「所有者の皆さん」、そして「皆さんの意思」は絶対に欠かせない。
総会を有意義なものにするには、その目的をしっかり認識し、所有者の皆さんの前向きな意思と正しい手続をもって執り行うことが大切だと思う。
目的をしっかり認識する
総会の目的について私なりに整理してみると
▶ 知る
▶ 確認し合う
▶ 話し合う
▶ 取り決める
▶ 語り合う
<知る>
マンションのことを知る機会、それが総会である。出席された皆さんの意見や話などから、色んなことを知り、そこから学ぶことは多い。
<確認し合う>
マンションの財務状況(収支決算)、今期の事業実績や来期の計画について確認し合う。この確認し合うことによって、問題点や改善点が見つかったりもする。一方通行とか受け身ではない、そこが「確認し合う」の意義ではないだろうか。
<話し合う>
マンションのことについて皆さんで話し合う、この総会でしか出来ないことでもある。そこで出た意見というのは貴重であり、話し合いにより物事は良い方向へと進むだろう。意見の食い違いなどで折り合いがつかないこともあるだろうが、互いのその意見を聞いて人は感化されたりもするし、また違った意見が生まれたりもする。
<取り決める>
理事会に権限が与えられていない事案やルールなどの取り決めについては、総会で決めることになる。総会は「最高意思決定機関」となる。
<語り合う>
マンションの将来について語り合う。マンションの財政のこと、修繕のこと、賃貸化に関わること、空き家問題など語り合うテーマというのはたくさんある。
将来を見据えたマンション管理、それを考えることで今何をすればいいのか見えてくることがあったりもするし、問題意識が生まれたりもする。
ときとして、餅つき大会などのイベントを開催するきっかけになったりもする。
所有者の皆さんの前向きな意思
総会というのは、管理会社のために存在するのではない。出席されている皆さんより管理会社の話の方が長い、これに該当するマンションは、管理会社主導の管理体制に陥っている可能性が高いと思う。
逆に管理組合主導型のマンションでは、議長を含め出席者の話の方が長い。管理会社は、議長から指示を受けたことに限り報告や説明を行っている。
私が管理会社時代に気付いたことがある。それは、議長がいるにも関わらす管理会社が議事進行の代役を買って出る。最初の頃は、私も無知だったから、総会とはそういうものなんだと勘違いをしていた。
総会への出席回数が増すにつれ、「これって誰のための総会なんだろう」、そのような疑問を抱くようになった。
管理会社が代役に回ると、多くの出席者が管理会社に対して質問がなされる。議長、理事会の皆さんがいらっしゃるのにその回答の受け答えを全て管理会社が行っている。
交通事故による交通渋滞に巻き込まれ、総会に遅刻したことが過去に1回あった。20分ほど遅れて会場に到着したのだが、総会が未だ始まっていない。
シーンとした重苦しい雰囲気の中で総会が始まったという苦い経験を持つ(笑)。
管理会社がいなければ議事が進まない、失礼な言い方になってしまうが、管理会社主導に陥ると現実的にそのような事が起こり得る。
これは、今から20年近く前の話になるので、さすがに今は全て議事を代役されている管理会社は寡少だと思うが、当時はそれが当たり前だった。
当時を振り返れば、総会というのは管理会社の独演会みたいなところがあった。
その後、管理組合主導による総会をサポートする陰の立役者に徹した(笑)。
そうすることで、活気ある総会が実現できたりもするし、皆さんそれぞれに主体性の意思が生まれる。
話し合いに加わる、意見を述べる、人の意見に耳を傾ける、マンションのことをもっと知る、これらが前向きな意思であり、総会には不可欠なものとなろう。
正しい手続き
総会の成立条件、決議要件など、総会には正しい手続きが必要になる。これらはそのマンションの管理規約に記載されている。
よくあるのが、議題に上がっていないテーマについて、総会で承認を諮り、マンションの決め事にするケースが見られる。
総会の話し合いの中で緊急動議と言われるものが生じることがある。緊急動議とは、会議において、事前に決められた議題以外の議事を緊急の議題にするように求める提案のことをいうのだが、仮に総会に出席されている方の同意が得られたとしても、その決議は無効となる。
その場合、後日、総会を改めて開催する必要がある。
管理会社から適切な助言があれば、そういったことは未然に防げるのだが、管理会社(フロント担当者)が全てを熟知しているとは限らない。これは怖いことでもある。
特に議長(理事長)になられた方は、総会前に管理規約を読んで理解すべきであろう。
管理組合の役員候補が決まっている中で、総会当日に出席された方が理事長に立候補されるケースが稀に見られる。
このケースでは、その組合員は管理組合役員の候補者ではないから、この総会で理事長にはなれない。もしその組合員の就任に賛成意見が多い場合は、この議題の否決、そして後日、総会を改めて開催する必要がある。
総会の手続きというのは結構面倒である。困ったときに弁護士やマンション管理士の先生方がいらっしゃれば良いのだが普通はいない(笑)。困ったときに電話で相談に応じてくれるサービスがあれば便利だと思う。
仮にそれが間違った手続きであったとしても、問題になることは少ない。もし問題が起こるとすれば揉めたときである。
裁判にまで発展すると、この手続きが正しく行われているのか、そこが争点となる。
正しい手続きを行う意義の中に、それも一理含まれる。