マンション管理組合の総会、理事会の決議に際しては、多数決原理が採用されています。これにより数で物事が決まるわけですが、前提として十分な議論とか検討が必要になります。
多数決原理の問題点は、少数派の意見が抑圧されるという点にあります。それと多数決の意見は正しい、この考え方に陥りやすいです。
色んな議題に関して、ときには多数派に該当すりこともあるし、ときには少数派に該当することもあるでしょう。自分が少数派の中にいるときに、もしそれが正しくはないと否定されるとしたら、きっと多くの方は腑に落ちないでしょう。
多数決による採決というのは、あくまで最終手段に過ぎません。しかしながら、事務的に総会とか理事会の議事が執り行われている感は否めません。
難しい議題に関して、理事会で十分な議論がなされないと総会で揉めることが多いです。そこで強行採決ともなれば、納得のいかない区分所有者が増えます。この繰り返しで管理組合運営がなされるとコミュニケーションとか共通認識は図れず、不満ばかりのマンションになってしまいます。
理事会の存在意義
様々な事案について、最善策を考えるために理事会は存在します。なので、理事会では十分な検討、そして議論は欠かせません。
後に総会を開催するのであれば、総会シーンをイメージすることがとても重要です。そこで想定される意見を前もって知ることができれば、それを踏まえた検討が行えます。
だから前もって皆さんの意見を聞くためにアンケートとかやるんです。
このアンケートにあたっては意見の集約は必要ですし、アンケート結果の報告も欠かせません。詳しくはこちらの記事👇
そして、理事会で協議した議事の情報開示も重要になります。そのために理事会議事録が存在し、区分所有者に配付してその事案について前もって知ってもらいます。
これがもし管理会社主導で行われる理事会だとしたら、それは何の意味も持ちません。管理会社の意思に従うと後で痛い目に遭います(笑)。そこには理事会の意思が当然必要になります。
管理会社主導だと、総会で色んな意見が出て、そして収拾がつかなくなり物事が決まらないことが多々あります。それは私の管理会社時代に見てきた光景です。
理事会で決めたことなのに、総会時に理事自らが管理会社に対して質問するなんて馬鹿げたことが実際に起きています。それでは本末転倒です。
逆に理事会主導で十分に議論された議題では総会で揉めることは少ないです。当事者の意見が反映されているから反論は起きにくいということです。
管理会社の視点と管理組合の視点の違いはそこにあります。
理事会で尽くした議論は、総会での議論を集約させる効果を持ちます。だから実際のところ意見は少ないし、理事会で十分議論されたことに敬意を払う方も意外と多くいらっしゃいます。
理事会の皆さん、本当にお疲れ様でした。
多数決原理の問題点
マンションに長く住んでいると色んな問題に出くわします。中には難題もあるでしょう。その問題の解決に向けて大切なことは「議論を尽くす」「少数派の意見を尊重する」、この2つは欠かせません。
多数決原理を事務的に用いるとすれば、そこにはきっと「嫉み」「僻み」「敵対心」などの後退的な感情が生まれ、それを拭いきれなければ、管理組合運営の足枷になります。
集団組織というのは、ひとたび結束すれば良い方向に流れますが、一歩間違えば本当に怖い存在になり得ます。
それ故にマンション管理組合にはコンセンサスが必要不可欠です。