マンション管理は誰かがやってくれる。果たしてそうだろうか。他人任せ、その裏側ではマンションのために活動されている方がいることを忘れてはならない。
70歳の理事長から学んだこと
都心部から少し離れた緑豊かな地域にそびえ立つ築40年を超えるマンションが存在する。このマンションの所有者の多くが高齢者であり、そこに70歳の男性の理事長がいた。
誰かがやらないと…
その理事長は、ここ5年程理事長に就任しているのだが、マンションも40年経過すれば至る所で不具合が発生し、頻繁に修繕が必要になる。
ある日の夜、共用部の照明が一斉に落ちた。照明の自動点滅器(EEスイッチ)が故障し、復旧するまでに1週間ほどの期間を要した。その間、誰かが共用部の照明スイッチを朝晩手動で入り切りしなければならない。
管理員の勤務時間外の作業になるので、当時、管理会社にいた私は、復旧するまで朝晩のスイッチの切り替えを担う旨、理事長に伝えたが、理事長から「仕事忙しいやろ、わざわざ来なくてええから、私がやるからええよ」、笑顔で語られ何か心苦しさを覚えた思い出がある。
その一方で、停電した際に「真っ暗で危ない!」「早く修理しろ!」などの罵声がマンションの所有者から飛んでくる。
陰の努力があることを知らない所有者たち…
このマンションは役員報酬などない。そして見返りなど何もない。ただ、マンションのために努力している人がいることを知らない。
マンション管理は誰かがやってくれる。果たしてそうだろうか。
役員にならなくても、きっとやれることはあるはず。
総会に出席しない、議事録をみない、回覧物、掲示物をみない、それでは実情を全く知り得ないだろう。
クレームをつける前に、そのマンションの所有者であることを自覚すべきではないのか。
そこに住まれる所有者たちが、もっとマンションに関心が持てるとすれば、先程のクレームなど発生しないだろう。きっと自分にできることを探すのではないだろうか。
余計なことかも知れないが、そうあってほしいと願う。