年々相続放棄が増加していることを皆さんご存知ですか? この相続放棄ですが、マンション管理組合にとって無関心ではいられません。
なぜなら、マンションの相続放棄は「所有者不在」を生むからです。所有者不在とは、相続放棄された住戸に所有者がいない状態のことを指します。
所有者不在になると管理費、修繕積立金の回収が出来なくなり、管理組合会計を悪化させる要因となります。
ちなみに、相続放棄後の住戸はどのようになるのか簡単に説明すると、債権を持つ人などが裁判所に「相続財産管理人」の選任を申し立てを行い、管理人が決まった後、マンションを売却して現金化を図ります。
売却で得られた現金をそれぞれの債権者にお金を分配し、残れば特別縁故者または国庫に納めるしくみです。
ここでいう債権者とは、住宅ローンの残債で困っている金融機関であったり、管理費などが滞っている管理組合であったり、被相続人に対して債権を有する者を指します。
債権を回収するためには、前述の相続財産管理人の選任を申し立てる必要があります。売却などにより、次の所有者が決まるまでは所有者不在の状態が続きます。
このような手続きを経て所有者が早く決まればよいのですが、現状はというとかなり時間が掛かります。
所有者不在が生じた際に、管理組合側の対策として考えられるのは、相続放棄された住戸を自ら購入する方法、そして前述の相続財産管理人の選任の申し立てを行う方法があります。
実際のところ、次の所有者(承継者)が現れるのを待っている、これが実情かと思います。
自力で購入できる管理組合なんてそうはいませんし、仮に購入資金があったとしても、管理組合の法人化が必要になったり、税務上の処理が必要になったり、購入後の住戸管理には色んな問題が出てきます。なので、自力購入は現実的ではありません。
相続財産管理人の選任の申し立ても費用が掛かりますし、管理人が決まっても、管理費などの債権がすべて回収できるわけではありません。
これからどんどん空き家が増えるものと思われますが、その中でも所有者不在は管理組合として注視すべき問題です。
所有者不在が増えれば、管理費、修繕積立金の滞納分を補うためにある程度のストック(運転資金)が必要になります。余裕が無くなれば解決への選択肢は狭まり、やがて負のスパイラルに陥ります。
管理組合で大切なもの、それはお金です。もしかしたら一番かも知れません。本当なら言いたくないことですが、マンション管理、管理組合運営にお金は不可欠ですよね。
私を含めたマンションの所有者たちは、マンション管理についてもっともっと勉強する必要があると思います。管理会社は管理組合にとって重要なこと(特にお金に関しては)前もって教えたりはしませんから。(☚ 事実)
反論できないフロント担当者
自発的に! そこが大切です。