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大規模修繕

大規模修繕の決議要件について

2018年2月10日

 

2002年の区分所有法の改正により、「共用部分の変更」の定義が変わった。この改定の背景には、建物の維持保全には欠かせない大規模修繕の円滑な実施を図る、その目的がある。

<改定前>

区分所有法第17条/共用部分の変更

共用部分の変更(改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。

<改定後>

区分所有法第17条/共用部分の変更

共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで滅ずることができる。

条文内の赤字箇所が改定された部分になる。

大規模修繕は多額の費用を要する工事だから、改定前においては、総会の特別決議が用いられていたのだが、改正後(施行日以降)においては、その形状または効用の著しい変更を伴うものに限り、特別決議が用いられることになる。

これに該当しなければ、「大規模修繕は普通決議で決する」という解釈になる。

その形状または効用の著しい変更、これは「重大変更」に区分され、これに該当しないものは「軽微変更」に区分される。それぞれの決議要件は、以下のようになる。

重大変更 ☞ 特別決議

軽微変更 ☞ 普通決議

改正後の区分所有法では、「形状または効用の著しい変更」を基準とし、決議に際して「普通決議」か「特別決議」かに分かれる。

「大規模修繕は普通決議で決する」という言い方は、法に照らすと間違った言い方になる。大規模修繕工事の中に「形状または効用の著しい変更」、これに該当する工事が含まると普通決議では行えない。厳密には区分する必要があろう。

外壁補修工事、屋上防水工事、鉄部塗装工事、給排水管更新工事などは軽微変更に該当し、エレベーターの新設工事、自動扉の新設工事、敷地内の空きスペースを駐車場や駐輪場に変更する工事などは重大変更に該当する。これらは一般論である。

防犯カメラの新設、手摺りの新設や段差解消などのバリアフリー化工事、耐震部材を設置する耐震化工事などは、建物の構造部分への影響が小さいものであれば、一般的に普通決議が用いられている。

形状または効用の著しい変更の「形状」「効用」「著しい」のそれぞれの判断においては、管理組合毎に解釈(考え方)が異なるから、実際のところ、管理組合によって決議要件は異なると思う。



管理規約の有効性

2002年に区分所有法第17条第1項が改正されたのだが、管理規約の改定がなされていないマンションが相当数あると言われている。

改定前の「改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く。」、この規定のままになっている管理規約の場合、区分所有法と矛盾した内容になるのだが、その管理規約の規定が有効になるのだろうか。

これに対して色んな意見がある。

無効とする意見 ☞ 一般社団法人マンション再生なび

有効とする意見 ☞ マンション管理オンライン

 

読者さんのそれぞれに考え方があると思うが、個人的には、区分所有法の改定趣旨を重点に置き、無効とする考え方である。

管理規約の見直しがなされていない管理組合は、一度検討された方がいい。

 

 




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