大規模修繕工事の良し悪しというのは、工事完了時の仕上がり具合もそうですが、その後の建物の状態を含めて総合的に評価すべきものだと思います。
前者は目に見える部分、後者は目に見えない隠れた部分と言えます。
今回の大規模修繕は成功したねとか良かったねと完了時にそれを口にするのは早計です。その後に思わぬことが起きたりもします。
次の大規模修繕までに何も問題がなければ良いのですが、マンションによっては大規模修繕工事を終えた1年後に雨漏りが発生したり、外壁の剥離、ひび割れ、タイルの変色などの不具合が生じることがあります。
大規模修繕工事を行った工事会社は、工事後の一定期間、無償で補修するアフターサービス保証を付けています。このアフターサービスの在り方について、私が実際にみてきた中で疑問に感じることが多々あります。
例えば…
▶ 不具合の原因調査をせずに場当たり的な手直し補修を繰り返す工事会社
▶ 「経過観察」と言って、その後ノーリアクションの工事会社
▶ 言い訳ばかりで手直しを行わない工事会社
▶ 公約した定期点検を実施しない工事会社
特にひどかったのは、漏水事故が発生してから1週間後に平然と現地確認に来た工事会社がいました。
この工事会社は全国に拠点を置く大規模修繕専門の工事会社ですが、初動がこれですから実際に補修したのは半年後というあり得ない杜撰さです。
適切に対応する工事会社がいる一方で、不適切な工事会社も中にはいます。アフターサービスとは名ばかりで、不適切な対応になっている感は否めません。
大規模修繕工事後に留意すべき5箇条
これまで私が業界人として経験したことを踏まえ、大規模修繕工事後に留意すべき事柄を5つ挙げます。
1.工事項目毎の保証期間について、管理組合(当期の理事会)は把握すべし
2.工事会社が定期に実施する点検(セルフチェック)に管理組合は立ち会うべし
3.不具合の原因は追究すべし
4.定期点検の報告、手直しの報告は書面で受け取るべし
5.保証期間終了前に工事項目毎の現地確認は行うべし
大規模修繕の工事が完了するまでは管理組合の皆さんの関心は高く、大規模修繕工事後においては無関心になりがちです。そこに注意を払う必要があります。