大規模修繕

マンションのひび割れの原因について

2017年10月22日

 

マンションなどの建物の老朽化、これは全ての建物が持つ宿命であり、避けては通れない問題である。

マンションは、建設されているときから既に老朽化が始まっている。建物をよく人間に例えるのだが、私のように中高年になると老朽化は加速する(笑)。

本当に年だけは取りたくはない…

だが、思考などのメンタルな部分は年齢に関係なく成長させることができる。摩訶不思議…

建物の劣化事象として代表的なものがひび割れ(クラック)である。

コンクリートというのは、夏の暑さで膨張し、冬の寒さで収縮する。この伸縮の動きによってひび割れてしまう。だから防ぎようがない。

このひび割れが更に進行するとコンクリートの爆裂という劣化事象が起きる。築年数が古いマンションの外廊下の天井などによく見られる光景である。

 

 

この爆裂に至るまでには過程というのが存在する。

➀ひび割れ部分に雨水や空気中の炭酸ガスが浸入
➁コンクリートの中性化が促進される
➂コンクリート躯体内の鉄筋に錆が発生する
➃発錆により、鉄筋の体積が膨張する
➄鉄筋周辺のコンクリート片が押し出される

①から④までの過程を経て⑤の爆裂という事象が起きる。

そのまま放置すると、コンクリートの中性化が更に進み、内部鉄筋の発錆も同様に進行する。結果として建物の老朽化を早めることになる。

ひび割れは、建物の耐力、耐久性、防水性など様々な機能を低下させる要因となる。

なので、早めに補修することが大切である。

 

 

ひび割れには、ヘアークラック構造クラックの大きく2種類ある。

ヘアークラック
0.2mm~0.3mm未満の細いひび割れ    

 

構造クラック
0.3mm以上のひび割れで、深さも0.5mm以上ある

ヘアークラックは、その多くがコンクリートの伸縮作用によって発生するひび割れであり、軽微なものと言えるが、一方の構造クラックは、建物の構造的な欠陥、あるいは地震や地盤沈下などが原因で発生する。

大きなクラックは、一度専門家に診断してもらう必要があろう。

 

 


 

-大規模修繕

執筆者:

関連記事

分譲マンション|2回目の大規模修繕は設計管理方式は不要?

1回目の大規模修繕では主にコンクリート躯体の修繕、外壁や鉄部の塗装部分の塗替え、屋上防水の補修、床防水の補修、シーリングの取替などが基本となります。 2回目の大規模修繕は、築後20年を超えるため、1回 …

大規模修繕|建設会社時代のエピソード

マンションの大規模修繕は業者間の癒着・談合は当たり前!     私は建設会社時代に呆れた業界の実態をそこで見てきた。マンションの大規模修繕の裏側というのは本当に醜いものである。 & …

マンション修繕工事|安全性を優先すべき!

  マンションの建設、その後の修繕工事において、意匠や機能も大切なことではあるが、一番に優先すべきは「安全性」だと思う。 私はデベロッパー、そして建設会社でマンション建設、修繕工事に携わって …

マンション大規模修繕|もっと工事について知っておこう!

  材料選びが大切! マンションの多くは、鉄筋コンクリートで作られていますが、この躯体部分がマンションの寿命に大きく関わってきます。それを保護しているのが防水材、外壁材になります。 なので、 …

マンション大規模修繕|使用される材料には注意が必要!

大規模修繕の実施計画を行う際に、私たちは素人だからとコンサルタントに設計監理を委託されるケースがあります。一般的にこの方法を「設計監理方式」と呼ばれていますが、コンサルタント、一級建築士だから安心、こ …




 プロフィール

くるみ

くるみ

著者:kurumi

マンションデべロッパー、デべ系管理会社、建設会社勤務を経て、2004年に管理会社設立。
2017年に業界を離れ、今はフリーランスとして活動しています。
元業界人がマンション管理についてしがらみ抜きでガチで語っているので、是非読んでみてください。

 ブログ内検索
 カテゴリー