大規模修繕

マンション大規模修繕|もっと工事について知っておこう!

2020年2月21日

 

材料選びが大切!

マンションの多くは、鉄筋コンクリートで作られていますが、この躯体部分がマンションの寿命に大きく関わってきます。それを保護しているのが防水材外壁材になります。

なので、この2つは躯体を守るという点でとても重要な役割を担います。それと雨漏りを防ぐ目的があります。

特に屋上や外壁面は、直射日光、雨などの影響を受けやすいため、防止材、外壁材の仕様には注意を要します。

女性に例えるなら、日焼け防止などに用いる化粧品をイメージしてもらえると分かりやすいですね。化粧品にも色々と種類があるように、防水材、外壁材にも色んな種類があります。

高いものや安いもの、肌に合ったもの(建物や環境に適したもの)、屋上や建物の出っ張り部分(庇)などの表層面に用いられるのが防水材、そして壁面に用いられるものが外壁材になります。

大規模修繕において、これらの材料選びは業者任せになりがちですが、現在用いられている材料の劣化状態や立地環境などを踏まえ、マンションに適したものを選ぶ必要があります。

そこで、それぞれの材料の特徴を知り、管理組合の予算、実情に見合ったものを選ぶことが大切です。

 

建設時に使用されている材料

新築マンションの建設にあたっては、良いものをより安くこれが基本になりますので、見た目が変わらなければ、安い材料を選ぶ傾向にあります。そこで対象になるのが外壁材(塗料材)です。

 

 

<一般的な塗料材の種類>

種類 特徴
アクリル系塗料
塗料材の中で一番安価な塗料材。汚れやすく耐久性に劣る。建物の耐用年数は5年~7年程度。
ウレタン系塗料 密着性に優れている。大規模修繕においては数年前まで主流だった塗料材。耐用年数は7年~10年程度。
シリコン系塗料 耐久性に優れている。現在大規模修繕においては最も多く使用されている塗料材。耐用年数は10年~15年程度。
フッ素系塗料  塗料材の中でも最高グレードの塗料材。東京スカイツリーにも使用されている。耐用年数は15年から20年程度。

 

価格は上から下に向かって高くなります。これ以外にも遮熱塗料、光触媒塗料などの塗料材がありますが、建設時や大規模修繕で使用されるケースは稀です。

新築マンションで一般的に使用されているのがアクリル系塗料になります。

長期修繕計画において、初回の外壁の塗装工事は12年目以降に計画されていますが、このアクリル系塗料の耐用年数は5年~7年と短く、明らかにそこに矛盾が生じています。

最近、シリコン系、フッ素系塗料を用いる新築マンションも見られますが、ごく一部に過ぎません。こうした矛盾が新築マンションにはあります。

そこで1回目の大規模修繕においては、アクリル系塗料を使うケースは少なく、多くはウレタン系塗料かシリコン系塗料が使用されています。

材料選びの必要性は、こうしたところから窺い知ることができます。



防水材はメーカー毎にその性能が異なる

防水材は、シート系、アスファルト系、ウレタン系など色んな種類があります。特にマンションの屋上に使用されますが、アスファルト系は主に建設時、シート系、ウレタン系は改修時に用いられるのが一般的です。

費用はシート系、ウレタン系は大差はなく、アスファルト系はこれより高いです。建設時にアスファルト系の防水材が使用されるのは、施工がしやすいからです。

改修時の防水工法は既設の防水材によって仕様が異なります。この工法の選択を誤ると耐用年数が短命したり、漏水事故に繋がったりもします。

同じ材料でもメーカー毎に価格が異なります。メーカーはどこも同じだと思っているかも知れませんが、改修時点の防水材を専門家が見れば一目瞭然です。

私は田島ルーフィングの回し者ではありませんが、このメーカーの材料はおすすめできます。さすが日本を代表するトップメーカーだけあって、材料の品質は優れています。

過去にこんなケースがありました。団地型マンションで棟ごとに屋上に使用されている防水材のメーカーが異なっていて、同じ経年で防水材の状態を見比べるとその違いが分かります。私は現場を直接見てそのように評価しています。

 

外壁専門と防水専門の業者について

大規模修繕の工事業者の特徴として、外壁専門、防水専門の大きく2つに分けられます。業界では外壁専門の業者が多く、防水専門の業者は少ないのが実情です。

どうして防水専門の業者は少ないのでしょう。それは高い技術力が求められるからに他なりません。

防水の工法、施工技術を習得するまでに10年は掛かります。日々材料は改良されますし、工法も色んな種類があるから数年で一人前にはなれません。

 

両者を比較した場合、どちらが良いのでしょう?

 

防水専門の業者

防水専門の業者は、防水メーカーと提携していますので、そこから材料を安く仕入れることができます。防水工事の価格の大半は材料費になるので、防水工事を安価で提供できるということです。

外壁工事にあたっては、自社で材料を仕入れて施工するケースもありますが、仮に外壁専門の業者に外注する場合、外壁専門の業者が多いから価格競争により外注費を下げることができます。

なので、防水専門の業者は、防水工事、外壁工事ともに安価に提供することが可能です。ここでも業者の回し者ではないということを追記しておきます(笑)。

外壁専門の業者

外壁専門の業者は、外壁工事は安価に行えますが、防水工事を外注に出す場合、防水専門の業者の数が少ないため、防水工事は割高になります。

防水材を自社で購入することもできますが、直接メーカーから取り寄せるのは難しく、多くの場合、防水工事の業者から材料を仕入れています。防水業界には色々としがらみがあり、メーカーとの提携は容易ではありません。

これはあくまで個人的な見解になりますが、大規模修繕の工事業者選びにおいては、防水専門の業者の方が良いように思えます。

マンションの大規模修繕においては、実施する前に色んな情報を入手することが重要です。今の私は、どの業界にも属さないので全て本音で語れます(笑)。

 

 


 

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 プロフィール

くるみ

くるみ

著者:kurumi

マンションデべロッパー、デべ系管理会社、建設会社勤務を経て、2004年に管理会社設立。
2017年に業界を離れ、今はフリーランスとして活動しています。
元業界人がマンション管理についてしがらみ抜きでガチで語っているので、是非読んでみてください。

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