私は今のマンションに新築当初から住んでいますが、21年もの間に入居者はかなり入れ替わり、最初から住んでいる所有者世帯の割合が半分以下になっています。
一昨日、このマンションの親しい住人のAさんが、退去の挨拶に来られました。その話が突然だったのでびっくりしましたが、顔見知りの住人さんがどんどん居なくなるのはとても寂しく感じます。
そのAさんとは、このマンションに移ってから家族ぐるみのお付き合いをしていたので、互いの子供の成長を共に見てきました。ひとりっ子の娘さんが今年の春に大学に進学するのをきっかけに父親の住む九州に帰られ、親の面倒を見るそうです。
近年、40代から50代の世代で「Uターン介護」というのが増えています。親の面倒を見るために、やむを得ず住み慣れたマンションを手放して帰省する、そんな話を最近よく見聞きします。Aさんもそのうちのひとりです。
十年前はマンションを簡単に手放せない事情というものがありました。住宅ローンの残債と売却益を差し引いたら赤字になるケースがよく見られました。
ここ数年、中古マンションは立地にもよりますが本当に高く売れています。ちなみにAさんのマンションは新築価格の1割引きの価格で売れたそうです。この場合、売却益から残債を差し引くと逆に手持ち資金が残ります。
Uターン介護が増えている理由のひとつに、この残債のリスクが少ないという時期的なものがあるように思えます。こういう話を聞くと私もそろそろかなって考えてしまいますね(笑)。
最近、テレビなどでマンションのリノベーションの番組をよく見かけますが、30年、40年の中古マンションを自分好みに改装する、それがトレンドになりつつあります。
今は新築マンションが高騰しているので、中古マンションに人気が集中していますが、前回の記事にも書いているとおり、中古マンションの築年数には注意が必要です。
40年を超えるマンションでのリノベーション、室内だけを見ればとても立派で魅力的に思えますが、これを報道する側そしてこれを勧める不動産会社は、大事なことを伝えていません。
5年後、10年後にマンションはどうなっていくのか、そのために何が必要なのか、そこをもっと報道の中に入れて伝えるべきだと思います。
リノベーションは専有部分と共用部分のバランスが必要になります。専有部分のリノベーションは空き家対策として期待できますが、全ての住戸が実施できるわけではありません。
共用の給排水管などがしっかりメンテナンスされていないと、いくら専有部分にお金を掛けても本末転倒ですよね。なので、共用部分の管理が疎かになると、状況によってはマンションには住めなくなり廃墟と化します。
マンションの共用部分の管理って、マンションを長持ちさせるために必要不可欠なものとなります。そこに皆さんの関心がもっと向けられることをこれから期待しています。