分譲マンションのコンシェルジュサービスは、新築の大規模マンションや超高級マンションでは定番になりつつありますが、その裏側では色んな論争が繰り広げられています。
今回、このコンシェルジュサービスの是非について、少し考えてみたいと思います。
そもそもコンシェルジュとは
コンシェルジュ(CONCIERGE)とは、フランス語で「集合住宅の管理人」や「鍵を管理する門番」を意味し、この言葉は19世紀のフランスで使われ始めました。今ではホテルや観光地の受付などでよく用いられています。
これが今ではマンションにまで波及しました。現在、マンションに導入されているサービス内容は以下のとおりです。
コンシェルジュサービスの内容
▶ 来訪者の受付・案内
▶ 荷物の一時預かり
▶ メッセージ預かり
▶ クリーニングの取次
▶ 宅配便の発送受付
▶ デリバリー・ケータリングの紹介
▶ 各種レンタルサービスの紹介
▶ はがき・切手・電球などの販売
▶ 郵便物の発送
▶ 事務機器の使用サービス
▶ 買い物代行サービス
▶ タクシー・ハイヤーの手配
▶ カフェの運営
私の経験談
私の管理会社時代に、このコンシェルジュサービスが導入されているマンションを2つほど担当してましたが、内1つは途中で廃止になりました。
廃止になった理由は、このサービスを利用する人が少なく、費用対効果の面で廃止になりました。それとコンシェルジュのスタッフが頻繁に入れ替わり、不評に繋がったことも要因の中に含まれます。
分譲会社は、マンションを売るためにあの手この手を考えます。そのひとつがコンシェルジュサービスです。「ホテル並みのサービス」、これをキャッチフレーズに新築分譲マンションの販売が開始されます。
しかしながら、宣伝文句にはなっても、実際にこのサービスがあるからそのマンションを買った、そんな方はあまり見かけたことがありません。あったら便利、無くても困らないのがコンシェルジュサービスだと私は感じます。
住人さんによっては、必要だと感じている方が中にはいらっしゃるかも知れません。なので、あまり否定的なことは言えませんが、本音を語るのがこのブログなので何卒ご容赦ください。
サービスのメリット・デメリット
どのサービスにもメリットとデメリットがあります。全て良いことばかりではありません。コンシェルジュサービスにも当然に存在します。
メリット
一般的に言われているのが、防犯面と資産価値の向上が挙げられています。確かにマンションで起きる空き巣などの犯罪は人目を嫌うので、コンシェルジュを置くことで防犯面が向上したりもします。状況によっては子供の駆け込み寺になったりもします。
このサービスの利用者の多くは高齢者と聞きます。高齢化が進む日本では、コンシェルジュの存在は資産価値に繋がったりもするでしょう。「身近なサービス」という点では利便性はあるように思えます。
デリット
このサービスを行うにあたり、管理組合の金銭的負担がなければ良いサービスに思えますが、結局のところ、マンションの管理費からコンシェルジュの人件費などが支払われています。
一般的なマンションに比べるとその分管理費が高くなります。24時間体制のマンションではかなりの経費が掛かりますし、コンシェルジュの人件費は派遣会社を介すことが多いため、管理員の人件費よりも割高傾向にあります。
コンシェルジュのサービス内容を考察すると、個人向けのサービスがほとんどです。インターネットで簡単に申し込めるものや、近所のコンビニやカフェのお店などに行けば事足りることがほとんどです。
ホテル並みのサービスを求めると相応に経費が嵩み、管理費が高額なものと化します。このサービスは、利用したい人が負担する、利用しない人も負担する、そこに不満を感じる方が多いのではないでしょうか。
このサービスを行っているのは管理会社になります。物品販売、業者紹介などの裏側ではリベートや紹介手数料をもらっています。ここでも管理会社は目に見えない利益を得ています。
管理会社はそこで利益を得ても価格は変わらない、そんな記事を見かけたりしますが、管理会社が受け取る利益を利用者に還元する、この発想が持てるとすればもっと管理会社の評価が上がると思いますが、現実は違います。
一旦このサービスが導入されると廃止するのは大変です。「このサービスがあるからこのマンションを買った」、それを口にされる方が出てきたりもします。私が思うにこれが最大のデメリットだと感じます。
冒頭の「色んな論争が繰り広げられている」、そこで住人同士が揉めることもあるでしょう。あったら便利程度のサービスが時として災いをもたらすことがあります。簡単に廃止することはできない、これはこのサービスに関わらずマンション管理ではよくあることです。
管理費支出は不適切
そもそも管理費というのは、建物の共用部分や敷地などの日常的な保守点検、管理組合の運営のために費やすお金になります。コンシェルジュサービスは、前述のとおり居住者向けのサービスになりますので、本来なら筋違いな支出になります。
マンションに常駐している管理人さんは、建物の点検とか清掃を行うからコンシェルジュとは異なります。
私が思うに、分譲会社の販売方法の在り方に問題があります。管理費と区分して別料金で徴収すべきだと思います。私がデべ系の管理会社にいたときに、この話を親会社(分譲会社)に対して要望しましたが、あっさり断られました。
そんなことをしたら、かえってマンションが売れなくなるって言ってたけど、このサービスが不要と感じたり、管理費が高いと感じればお客様は買わなくてすみます。
コンシェルジュ付きマンションの広告を見る度に、後にきっと揉めるだろうなって感じるのは私だけ?