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分譲マンション|バルコニー・共用廊下に物は置けない!

2020年2月23日

 

私のデべロッパー時代、そして管理会社時代に、マンションの共用部分に私物を置く行為に関する質問が多く寄せられました。既にマンションに住まれている方、そしてマンションをこれから購入される方からの質問です。

💬 バルコニーに収納庫を置けますか?

💬 ○○を置けますか?

 

 

このように事前に確認していただけるとトラブルは未然に防げますが、中には勝手に私物を置かれる方がいらっしゃいます。そこで他の住人さんから苦情が生じたりもします。

💬 隣りの住戸の方がいつも廊下に自転車を置いているから通行の邪魔になる!

私の住んでいるマンションでも、引っ越されてきた方が、よく共用廊下に自転車やクーラーボックスなどを置いています。管理規約で明確に禁止されているから、それは一時的な光景ですぐに改善がなされます。

共用廊下は人目に付くから誰かがそれを見て注意することができますが、バルコニーの場合だと、第三者の目に触れにくいので、皆さん意外と小物などを置かれています。

そこで消防設備点検時に点検業者の方から注意されることもあるでしょう。

 

 

特に隣との隔て板付近や避難ハッチ付近(降りる箇所)に私物を置かれると火災などの有事の際に支障を来します。

普段生活している中で、管理員や管理会社の関係者が直接住人さんに対して注意することは少ないと思います。苦情が生じてそこで対応されるケースが多いように思えます。

住人さんならともかく、管理員や管理会社がそれを知っていながら黙って見過ごす、そこに問題があると思います。私の現役時代は、住人さんに嫌な顔をされても注意してました(笑)。

何か問題が生じたときに、他の住人さんから偏見な目を向けられるのはその住人さんになります。そこを分かっていれば注意してあげるのが管理員を率いる管理会社の役割だと思います。

どうして共用部分に私物を置いてはいけないのか、今回、根拠などを交えて皆さんにお伝えしたいと思います。



根拠となる規定

区分所有法では、第13条に「各共有者は、共用部分をその用法に従つて使用することができる」、こう記されています。この用法に関する定義がないから解釈に苦しみます。

そして区分所有法の第30条に「 建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる」、こう記されています。

共用部分の具体的な使用方法については、管理規約で定めることになりますが、それでは管理規約にはどのように記されているのでしょう。

そこで指標になるのが、国土交通省のモデルとして作成された「マンション標準管理規約」です。同時に作成している「マンション標準管理規約のコメント」も指標になります。

マンション標準管理規約の第13条に「区分所有者は、敷地及び共用部分等をそれぞれの通常の用法に従って使用しなければならない」、こう記されています。

ここでようやく「通常」という言葉が用いられていますが、この通常という言葉も解釈に苦しみます。

そこでマンション標準管理規約のコメント(第13条関係)に「通常の用法の具体的内容は、使用細則で定めることとする」、こう記されています。

なんとか通常の用法の定義にたどり着くことができましたが、この使用細則は、個々のマンションによって用法の定義が異なります。

参考になるとしたら、国土交通省の指定機関(公益財団法人マンション管理センター)が作成している「中高層住宅使用細則モデル」があります。第9条そして第11条に共用部分の用法が記されています。

第9条(敷地及び共用部分等でのその他の禁止行為)
第三号に「専用使用権のない庭、廊下、階段、その他の敷地及び共用部分等への物品の設置若しくは放置又はその占拠その他の排他的な使用」、こう記されている。
第11条(バルコニー及び屋上テラスでの禁止行為)
第四号に「緊急避難の妨げとなる物品の設置又は放置」、こう記されている

マンションによって、この記述は異なると思われますが、記載されている内容はそのマンションの使用ルールだから遵守しなければなりません。

 

使用細則に規定が無くても法令で規制!

マンションでは、火災などの災害時に備え、二方向への避難経路が確保されています。バルコニー、共用廊下、階段がこの避難経路に該当します。この避難経路に妨げとなる自転車などの私物を置く行為は禁止されています。

 

根拠となる法令は「消防庁告示第三号」です。これは平成17年3月25日に総務省消防庁から告示され、平成19年4月1日に施行されています。詳細は総務省消防庁のホームページで確認することができます。

総務省消防庁HP

この告示の内容は、以下のとおりです。

特定共同受託等の構造類型を定める件(第三のみ抜粋)

第三 二方向避難型特定共同住宅等

 省令第二条第八号に規定する二方向避難型特定共同住宅等は、特定共同住宅等の住戸等(住戸、共用室及び管理人室に限る。以下第三及び第四において同じ。)において火災が発生した場合に、当該住戸等が存する階の住戸等に存する者が、当該階の住戸等から、少なくとも一以上の避難経路を利用して階段室等(当該住戸等が避難階に存する場合にあっては地上。以下第三において同じ。)まで安全に避難できるようにするため、次号に定めるところにより、二以上の異なった避難経路(避難上有効なバルコニーを含む。以下同じ。)を確保していると認められるものとする。

 二方向避難型特定共同住宅等は、次に定めるところによるものであること。

(一)廊下型特定共同住宅等の階段室等は、廊下の端部又は廊下の端部に接する住戸等の主たる出入口に面していること。

(二)住戸等の外気に面する部分に、バルコニーその他これに類するもの(以下「バルコニー等」という。)が、避難上有効に設けられていること。

(三)バルコニー等に面する住戸等の外壁に、消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号)第四条の二の二に規定する避難上有効な開口部が設けられていること。

(四)隣接するバルコニー等が隔板等によって隔てられている場合にあっては、当該隔板等が容易に開放し、除去し、又は破壊することができ、かつ、当該隔板等に次に掲げる事項が表示されていること。

 当該バルコニー等が避難経路として使用される旨
 当該隔板等を開放し、除去し、又は破壊する方法
 当該隔板等の近傍に避難上支障となる物品を置くことを禁ずる旨

(五)住戸等において火災が発生した場合に、当該住戸等が存する階の住戸等に存する者が、当該階の住戸等から、少なくとも一以上の避難経路を利用して階段室等まで安全に避難することができること。ただし、バルコニー等に設けられた避難器具(避難器具用ハッチに格納された金属製避難はしご、救助袋等の避難器具に限る。)により当該階の住戸等から避難階まで避難することができる場合は、この限りでない。

 

火災などの災害時の安全確保のためにこのような規定が設けられています。これが一般的に言われる「消防の観点からの規制」であり、使用制約の根拠となり得ます。

他にも共用部分に物を置けない根拠的なものが存在します。これから説明する内容は、多くの方が知らないと思います。

共用部分に物を置く、もしこれが前提にあるとすれば、そこは共用部分ではなく、専有部分に含まれるスペースになります。

そもそもマンションなどの建物は容積率というのが決まっています。立地場所、敷地の広さによってこの容積率は決まりますが、これにより建物の延床面積が決まります。

バルコニー、共用廊下などの共用部分は、この延床面積に含まれません。これを「容積率不算入」と言いますが、法により除外できる部分となります。これにより専有部分の面積を広くできるというメリットがあります。

この共用部分に物を置く行為は、専有部分とみなされ、結果として面積相違の違法建築物になります。役所の立ち入り調査でこれが発覚すれば、マンション全体の建物使用禁止命令が下されます

実際に役所がマンションに立入調査することは皆無でしょうが、法律を紐解けばこのような現実も起こり得るということです。是非知っておいてください。

役所によって考え方が異なるかも知れませんが、詳しく調べたいのであれば、役所や県の建築関係の窓口に行けば教えてもらえると思います。

私は過去に根拠資料を見せてもらい、そのような説明を役所の担当者から受けました。

 








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