管理組合の予算書とか決算書の支出項目に記載されている金額、これが適正なのか気になったことはありませんか。私の住んでいるマンションで第1期の予算書を見たとき、そのことが気になりました。
第1期目にして早々に見直しを行ったわけですが、そこで色んなことを知り得ました。その後私は、マンションのデべロッパー(分譲会社)からマンション管理会社に移籍し、そこでマンション管理の実情を知ることになります。
マンションの維持管理を行う上で、それに充当するための資金が必要になります。そこで、管理費・修繕積立金という名目で所有者の皆さんが毎月支払っているるわけですが、これらの資金の使い道は、まず適正価格を知ることから始まります。
適正価格を知る
適正価格というのは単一では知り得ません。複数の見積りを取り寄せ、比較することによって導き出されます。不動産でよく用いられる相場価格という言葉がありますが、これも適正価格と言えます。
管理組合にとって大切なことは、この適正価格を知ることです。なぜなら、マンション毎にそれぞれの支出項目の価格が異なるからです。
仮に同じ仕様(サービス)で格差がそこにあるとすればどうでしょう。相場価格が1万円なのに1万2千円支払っているとしたら腑に落ちません。この2千円の違いはそこだけをみると少額に思えるかも知れません。
ですが、毎月の支払いともなればどうでしょう。この2千円の違いが1年経てば2万4千円になります。10年経てば24万円に膨らみます。更にそのまま20年経過すれば48万円に膨らみます。
これが5項目あるとすれば、20年間で240万円になります。この2千円の違いを多角的、長期的に捉えることで、大きな金額になることが知り得ます。
マンションの総戸数が増えるほどこの差は大きくなります。仮に月額5万円の違いが生じるとすれば、20年間で1,200万円に膨れ上がります。実際に見直しを行ったマンションでは、それ以上に差異が生じたケースもあるでしょう。
これは修繕工事にも言えることです。30年間で行う修繕工事はかなりの数になります。そのひとつ一つの工事もまた違いが存在します。30年間の累計で捉えるとどうでしょう。きっと膨大な金額になります。
適正価格を知るという作業は、一見すると単純なものに思えますが、そこに行動が伴えば、結果として管理組合の資金効率を高めることに繋がります。資金効率は企業で利用される言葉ですが、少額の費用で最大効果を得ることは管理組合の運営にも言えることです。お金もその分残りますからね。