上司と隣人は選べない、そんな言葉を見聞きしたことがあるが、よく考えてみると確かに選べない。
私たちが社会生活を送る中で「選べないこと」、それは意外と多く存在すると思う。マンションもまた隣人を選べない、これは現実としてある。
マンション生活において、隣人とのトラブルは絶えることがない。生活音、ベランダやバルコニーでの喫煙や当該箇所の使い方、ペット飼育、挨拶などを巡りトラブルに発展するケースは後を絶たない。
そこには共同生活を行う上でのマナー、これが深く関係してくる。
隣人とのトラブルの中で「生活音」、これが一番多いのではないだろうか。特に上下階の音に纏わるトラブル、これは深刻な問題である。
生活音を広義に捉えれば、夫婦喧嘩で発せられる声、子供を叱りつける声、これも状況によってはトラブルの要因になるだろう。
私生活の集合体、それがマンション住まいになるから、様々なトラブルというのは、普段生活する中で、それを意識しない限り無くなることはないだろう。
隣人とのトラブルでマンションを売却した知人が数人いるのだが、分譲マンションを購入した場合、賃貸とは違って簡単にそこを退去することはできない。
3年間生活音に悩み続けて売却された知人もいるし、購入して半年後に隣人とのトラブルで妊婦中の奥さんがノイローゼになって売却された知人もいる。
いずれの知人も「もう我慢の限界」、この言葉を口にしている。人それぞれに受忍限度があるだろう。それを超えてしまうとそこに改善の余地がなければ、裁判とか退去という選択をとらざるを得ない。
一度トラブルが起こるとこのような心労が生じてしまう。
私の住むマンションのお隣さんは、二十数年間ともに暮らしているから、顔なじみで親しくさせてもらっている。何事もなく生活が送れているわけだが、今後において売却などで隣人は変わることもあるだろう。
分譲マンションも賃貸化などにより、隣人が変わることがある。隣人は選べない、それと同時にその隣人もまた隣人を選べない。
互いに共同生活におけるマナーには注意しなければなるまい。