マンション生活

マンション敷地内の迷惑駐車・無断駐車のあれこれ!

2018年3月12日

 

マンションの居住者間をめぐるトラブルで多いのが「違法駐車」である。国土交通省が5年毎に行っている「マンション総合調査」によると、平成11年にこの調査が開始されてから常にトラブルの上位になっている。

国土交通省/平成25年度マンション総合調査(関係資料一部抜粋)



マンション居住者の迷惑駐車・無断駐車

私の管理会社時代に苦情として多かったのが「迷惑駐車」「無断駐車」である。勝手に他人の区画に駐車する、マンションの玄関先やちょっとした空きスペースに駐車する、そして苦情を生む。

来客用駐車場が設けられているマンションでは、その使い方についてトラブルというのが多かった。いつも同じ方が駐車している…

特に新築マンションでは、契約区画を間違えて駐車してしまうことは、当初においてありがちなケースだと思うし、来客用駐車場に関わるルールを理解するまでにある程度の時間は掛かるだろう。

だが、相当年数が経つマンションでも、この迷惑駐車、無断駐車は起こり続けている。私の住んでいるマンションも、20年という長い年月が経つのだが、その話が尽きることはない。

 

敷地内における警察の介入

敷地内(私有地)において無断駐車が発生した場合、基本的に警察は介入しない。

 

 

ただし、同じ車が反復して無断駐車する場合、車庫証明の虚偽申請の疑いがあるとして警察が介入してくれたりもする。

 

構造物等侵入罪による法的措置

部外者の駐車は「構造物等侵入罪」で告発することができる。だがその場合、素人では解決できないから弁護士に依頼するための費用など金銭的な負担が生じる。そして状況によっては解決に至るまで長期化が予想される。

部外者が他人のマンションの敷地内に駐車することは、普通想像しがたいと思うが、少なからず実際に起きている。この場合、間違いとか勘違いではなく、他人の敷地だと分かって駐車しているわけだから悪質性が高い。早期対応は必須となろう。

 

レッカー移動は困難

他人の敷地に勝手に車を駐車する。本当に許しがたい行為なのだが、そこでレッカー移動という手段を用いたいところではあるが、勝手に車を移動してしまうと、逆に不法行為として訴えられることがある。

法的な手続きをとらずに実力行使をもって権利を取り戻すことを「自力救済」というのだが、日本の法律では、社会秩序を維持するためにこの「自力救済」は禁じられている。

車の移動をその所有者に求めることはできるが、敷地の所有者が勝手にその車を移動すると、自力救済の原則に反する行為として、多くの場合、不法行為が成立する。また「車の移動時に傷つけた」「車内が汚れた」など、器物損壊罪で逆に訴えられることがある。

他人の敷地内に平然と駐車する人間は、「駐車しても相手は何もできないだろう」、そのような考え方を持たれている方が多いのではないだろうか。その考えこそが悪質であり、断固許しがたい。

 

タイヤの空気を抜く行為は器物損壊罪

無断駐車は許せない、車を移動することもできない、名乗り出ない、そこで一層のこと、車が移動できないようにタイヤの空気を抜きたくなる気持ちになる(私だけか?)。あくまで気持ちであって行動には移さない(笑)。

このタイヤの空気を抜く行為は、器物損壊罪(刑法第261条)に該当し、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料が課せられる。車が移動できないことによって生じた損害も賠償しなければならない。(民法第709条/不法行為による損害賠償)

悔しいけど、この行為もできない。

 

警告文はここに注意!

迷惑駐車、無断駐車が発生した際に、一般的に行われているのが警告文をワイパーに挟むといった行為である。

警告文をワイパーやドアに挟むのであれば、それを見て(そういう人は見ないだろうが)、簡単に撤去できるから、その行為に対して問題指摘されることはないだろうが、粘着のガムテープを使って貼り付けると剥がす際にテープ跡が残ったり、貼る場所によっては塗装が剥がれたり、その場合、トラブルに発展したりもする。

器物損壊罪でいう「損壊」には、傷をつけるだけに止まらず、物の効用を喪失させる行為も損壊となり得る。例えば、警告文が剥がれない、それにより運転ができないとか、テープ跡が残って運転に支障を来すとか、中傷的な言葉を車に書くとか貼付けるとか、そのまま公道で走れない状態だとすれば、これらも損壊の中に含まれたりもする。

なので、警告文の貼り方には十分注意を要する。

 

タイヤロックは適法?

理事会や総会などで、迷惑駐車・無断駐車の対策について検討される際に、よく車止め、チェーンを用いる話が出るのだが、一見すると問題がないように思えるのだが、これも車を移動できない状態をつくるので、自力救済禁止の原則に反し、不法行為に該当する可能性が高い。

 

 

管理会社にいた頃、これらの問題が多かったから、顧問弁護士や警察の方に色々と聞いて勉強させてもらった。

勝手に駐車されたら、そこで泣き寝入り、打つ手なし、そんな風に思えるが、迷惑駐車、無断駐車の多くは、即時の対応によって再発は防げる。

私が管理会社時代に実践していたのは、掲示板の下にA4サイズの封筒を設置し、その封筒の中に駐車禁止の警告文を10枚程度入れて、マンションの居住者がいつでも使用できるようにしていた。意外と皆さん使用されていた。

「ちょとぐらいの間ならいいだろう…」、これを皆さんが行えば、そのちょっとが長くに変わる。そしてどこでも止めるようになる。

誰も言わない、注意しない、これにより行動は更にエスカレートする。これは迷惑駐車に限ったことではない。

 

何事も初めが肝心である。

 


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 プロフィール

くるみ

くるみ

著者:kurumi

マンションデべロッパー、デべ系管理会社、建設会社勤務を経て、2004年に管理会社設立。
2017年に業界を離れ、今はフリーランスとして活動しています。
元業界人がマンション管理についてしがらみ抜きでガチで語っているので、是非読んでみてください。

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