新築の分譲マンションの着工戸数が2007年をピークにその後激減している。それに伴い、ここ数年管理会社のリプレイスの話をよく耳にするようになった。
リプレイスとは、管理会社の変更を指す。
新築物件が減れば、そこには管理物件の奪い合いが起こる。これはごく自然な競争の原理によるものだが、相も変わらず価格競争を繰り広げている感は否めない。
現行の管理委託料よりも安くして管理を受託する、どの管理会社も受託するのに必死である。これにより管理組合の金銭的な負担は軽減される。一見すると管理組合にとって良い事のように思えるが、全てが良くなるとは限らない。
「安かろう悪かろう」、これに該当することもあるし、管理組合の要望が多岐に渡れば、途中で管理委託料を値上げされるケースも見られる。
無謀な値下げは後で必ず後悔を生むことになる。なので、無理のない適正価格であることが必須となる。だが実情はそうではない。適正価格では競争には勝てないから、適正価格とは思えない金額を提示する管理会社も中にはいる。これが今のリプレイスの裏側には存在する。
安くするというのは、相応のリスクがあることを管理組合は知っておくべきだと思う。これについては、逆の立場で考えると分かるだろう。それが適正価格を下回る金額だとすれば、それに対して業務が増えるとか過剰な要望がそこにあるとすれば、「値上げしたい」という気持ちになるだろう。
リプレイスというのは、不適切な管理を正すことが目的であって、金額だけに執着し過ぎるとその一方で大切なものを失ってしまう。
管理会社はどういう事情であれ、管理を受託した以上、管理委託契約書に基づき適正な管理を行う必要がある。だが管理会社側の本音を言えば、そこには費用対効果が必ず存在する。
過剰な要望は禁物
私の姉が住んでいたマンションの話になるのだが、管理会社に対して過剰な要求を行う所有者が数名いた。敢えてその数名の所有者のことを「クレーマーたち」と書かせてもらう。
私の姉の主人が理事長に就任した直後に、管理会社から何の前触れもなく解約通知書が手渡された。フロント担当者がこれまでに幾度も交代しているのだが、クレーマーたちによって今のフロントがうつ病を患い退職したい旨の申し出がなされ、管理会社の上層部の判断で管理委託契約をこれ以上継続することはできない、その旨が告げられた。
当時理事長だった姉夫婦は当然困惑された。そして任期中に管理会社の変更を余儀なくされたのだが、管理会社が違うところに変わっても、またそのクレーマーたちによって同じことが繰り返された。
詳細はここでは語らないがそれを聞いたら、きっとびっくりするような内容である。
そして新たな管理会社に変わってから早々にまた災難が降りかかってきた。
そのクレーマーたちによって受託業務に支障を来すと、今度は新たな管理会社から相談を持ち掛けられた。しばらくすると管理組合宛てにその内容が記された書面が提出され、そこで緊急理事会が開かれた。
その書面にはそのクレーマーたちの号室が記載されていたが、理事会の議事録には事の経緯は記されているが、号室は一切記載していない。だが察しがつくのだろう、そのクレーマーたちは黙ってはいなかった。
私の姉や主人、そして理事の方たちに対して、管理会社を変更した責任を追及したり、何かとケチをつけ罵るようになった。それに耐え切れず姉夫婦はマンションを退去し、その後マンションを売却した。
姉夫婦はそこに15年間住んでいたのだが、そのマンションには子供の友達や知人がたくさんいたと聞かされたが、住み慣れた思い出の詰まったマンションを不本意なかたちで出ていくのは、とても虚しく悲しかったに違いない。
だが、こういうクレーマーのいるマンションでは、安心して住むことはできないだろう。
リプレイスの裏側では色んなことが起きている。
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