マンション管理会社の見直しを行う際に、複数の管理会社から見積書を取り寄せますが、管理委託料の合計金額だけで良し悪しを判断されていませんか?
A社・・・年額合計500万円
B社・・・年額合計450万円
C社・・・年額合計480万円
D社・・・年額合計400万円
良し悪しを判断される際に重要なのは、合計金額よりもむしろ内訳金額の方です。なぜなら、何にどれだけ支払うのか、そしてそれぞれの内訳金額の算定根拠について確認する必要があるからです。
もし仮に根拠の無い金額設定だとしたら、仕事をきちんとやれるという保証は得られません。
マンション管理会社の見直しに際して、どこに重きを置くのか、それに対する費用はどれくらい掛かるのか、相場はどれくらいなのか、そこを知る必要があります。
例えば、フロントマンの対応を改善したいのなら、フロントマンに掛かる経費(料金)がどれくらいなのか内訳の中で確認する。管理員業務を改善したいのなら管理員業務に掛かる経費を確認する。そこが重要視すべき点です。
管理会社のリプレイスにおいて、一般的にどの管理会社も管理委託料を下げてきます。そこで内訳を見ると根拠が見当たらない金額設定になっているケースが多々あります。
質の向上を求めているのに料金が異常に安いとか、サービスの仕様は変わらないのに料金が異常に高いとか、そこに注意を払う必要があります。
管理委託料の内訳を覗いてみると「事務管理業務費」という費用項目があります。これはフロントマン、会計事務に関わる経費になりますが、管理会社がこの料金を算定する際に戸当りいくらで計算されるケースが多いようです。この場合ですと「戸当り単価×総戸数」が事務管理業務費ということになります。
一般的に戸当り単価は見積書に記載されないため、逆算(事務管理業務費÷総戸数)をすれば戸当り単価を導き出せます。
A社・・・2,000円/戸当り
B社・・・1,500円/戸当り
C社・・・1,800円/戸当り
D社・・・1,000円/戸当り
この戸当り単価によって、フロントマン、会計スタッフの仕事量を判断することができます。例えば、A社とD社を比較した場合、2倍の差が生じていますよね。
管理会社毎に人件費は異なりますが、仮に同じだとすれば「仕事量は2倍」という見方ができます。少し視点を変えれば、割り当てられる担当物件数が2倍という見方もできます。
担当物件数が増えれば、どんなに優秀な人材でも業務が煩雑になりサービスの質は確実に下がります。そこに注意を払う必要があります。
更に深堀りすると、仮に仕事量が同じだとした場合、人件費に2倍の差が生じます。現実的には2倍の差が生じることは考えられませんが、少なからず給与に違いがあることはそこから読み取ることができます。賃金は地域によって異なりますが、戸当り単価1,500円以下は要注意です。
フロントマンが長く続かない理由のひとつに「担当物件数が多い」ことが挙げられますが、事務管理業務費の低い会社ほど担当物件数を増やす傾向にあるため、仕事量が増え、結果として残業過多、苦情も増え、身体的に疲れて果てて会社を辞めざるを得ないといった結果を招いています。
これは会計スタッフにも言えることですが、定着率が悪いと引継ぎがなおざりとなり、新入社員に対する教育も疎かになります。そんな悪循環に陥っているのに経営陣は我関せず的な放漫ぶり、これは悪い管理会社の典型であり、実在するから手に負えません。
リプレイス先がこんな管理会社だとすれば本当に困りますよね。でも前述の数字である程度判断することができますので、覚えておいてください。
なので、事務管理業務費の戸当たり単価というのは実はとても重要なんです。
比較を行う際にそれぞれの金額は見て取れますが、高い理由、低い理由は管理会社に聞かないと知りようがありません。そこで算定根拠について確認の必要性が生まれます。
そこで得られた根拠をもとに、サービスの良し悪しについて検討することが重要です。