マンション管理会社を変更して、期待通りの成果が得られたとしても、それが一時的(最初だけ)では意味を成しません。マンションとその管理はその後もずっと続きますからね。
管理会社の変更に際しては、候補先の管理会社がマンションに訪れ、現地調査が行われます。建物や設備などの管理状態を調査し、現況の問題点とその解決策の説明とか管理仕様や管理委託料などの見直しの提案がなされます。
管理会社の中には、マンション管理適正化法や管理規約に矛盾した問題点を指摘することもあるでしょう。そこで管理組合は色んなことを知り得ます。
▶ 建物に不具合がありますが、今の管理会社から提案はなされていますか?
▶ 法や管理規約に矛盾した点があります。これは問題ですよ!
▶ 弊社なら、このような管理を行います。
▶ 弊社に変更されると、管理支出がこのように削減できます。
特に初めて変更される場合、他の管理会社から聞く話が新鮮に思えたり、興味を惹かれることもあるでしょう。
しかしながら、全てを鵜呑みにするのは危険です。第三者からみた問題点の多くはきっとその通りでしょうね。ですが、新たな管理会社が提案通り継続して行えるかは実情と照らし合わせると疑問に思えます。もちろん全てが当てはまるとまでは言いません。
管理組合にとっては一時的では困りますからね。最初はよくて途中からいい加減といった話しはよく見聞きしますし、当初の管理委託料は安くしといて、その対価として修繕工事を強引に勧める管理会社も中には存在します。
管理委託料を安くしときながら、しばらくすると今の管理委託料では管理できないと言われるケースも考えられます。工事も自社受注できない、管理委託料も安い、この2つが重なると管理会社にとってメリットがないから後に揉めるんですよね。
なので、特に管理委託料を下げてくる管理会社の場合、修繕工事の考え方を確認された方がいいかも知れません。
前回のブログでも書いていますが、「灯台下暗し」には注意が必要です。変更した管理会社が灯台下暗しでは困りますからね。
リプレイスの営業の際に既存の管理会社の悪い部分を指摘しておきながら、我に返ると既存顧客から同じことを指摘されている、笑えない話ですがこれが管理会社の裏事情です。
個人的な意見になりますが、管理会社の変更で大きく変わるのは、表面的な管理委託料と管理仕様だけだと思っています。中には「対応が良くなった」という意見もあるでしょう。でもそれは前との比較によるものであって、それが普通に戻っているだけのことです。
管理会社を変更された管理組合の皆さんが、前管理会社のホームページに書かれているキャッチフレーズとか内容を読まれたら、きっといい気持ちはしないと思います。それが変更先の管理会社であったりもします。
解約の多い管理会社は、いくら営業努力で増やしても同じことが繰り返されます。解約された理由に対して真剣に向き合わない、反省しないからそのようになるんですよね。
変更先の管理会社がもしそうだとしたら、いつか同じことが起こり得ます。管理会社の体質というのはそう簡単に変えられるものではありません。
マンション管理業協会のホームページで会員企業の管理棟数(戸数)の推移が公表されていますが、そこから解約の実態を窺い知ることができます。これは管理会社の評価の指標のひとつになり得ますので考察してくださいね。
その管理会社がマンション管理業協会の会員であれば、「マンション管理会社名 マンション管理業協会」で検索すると管理会社の決算(資産)内容と管理物件の推移を閲覧することができます。(参考までに)
前年と比べ管理棟数(戸数)が減っていれば、解約が発生していることが窺い知れます。また、デべロッパーの子会社であれば、新規受注があるのに増えていない、これも解約が発生していることを意味します。
M&A(管理会社の買収)で増えている場合、評価とは言えず、逆にお金で管理物件を買う会社をどう感じるか、そこに注意が必要です。(M&Aの本質について語った記事のリンクを下に貼っておきます。)
管理会社変更に際して変わるのは、前述の管理委託料や管理仕様など実際に具現化できるものに限られます。フロントマンの対応(迅速さなど)は人によって異なります。特に管理会社変更後は、有能な人を配置する傾向にあるので、しばらくすると交代してその後に不満が生じたりもします。
この業界の人材教育というのは、業務が広範囲に及ぶし、個人の性格もあるし、そして管理組合の評価が個々に異なるので、一貫したマニュアルで通用するものではありません。
なので、管理会社変更に際して、過剰な期待をすると必ずギャップが出てきます。
管理会社変更の裏側について、あくまで個人的な意見を述べましたが、少しでも参考になれば幸いです。