マンション管理会社を変更する際に注意すべきこと
マンション管理会社の変更に際して注意すべきことがひとつあります。それは業者間の引継ぎはしっかり行うことです。
新たな管理会社が自分たちのマンションを熟知しているわけではありません。そこでこの引継ぎの在り方が問われます。今回、この引継ぎの重要性について語らせていただきます。
引継ぎの重要性
新たな管理会社への引継ぎが上手になされないと、マンションの管理運営や私生活において支障を来したり、状況によってはトラブルを招きます。いくつか例を挙げます。
管理員業務におけるトラブル
管理員が置かれているマンションでは、何か問題が起きた際に身近にいる管理員に相談したり頼ることもあるでしょう。
そこでトラブル事例として多いのが、前任の管理員と後任の管理員の対応の違いです。それに気付き違和感を覚えるのは、そう身近にいる居住者の皆さんです。
管理会社が変わると管理員の教育指導の在り方や業務仕様も変わります。以前の管理員はやってくれたのに今の管理員はやってくれない。
これは管理員の日常清掃にも言えることです。清掃の範囲や清掃の仕方が以前とは異なるケースにトラブルが潜んでいます。
そこで管理員に話を聞くと、会社から十分な指導がなされていなかったり、フロント担当者からそこは契約外だからやらなくていいと言われた、そんな言葉が出たりもします。
居住者からすれば言い訳にしか映らず、そこに不満が生じ、トラブルに発展したりもします。
なので、業務仕様の確認(ヒアリング)と新管理会社への引継ぎは十分に行う必要がありますし、これまでやってきた業務との相違点があれば、事前に居住者へ周知することも大切です。
特に契約書に記されていない業務の詳細部分には注意が必要です。
漏水事故におけるトラブル
漏水事故が起きた際に、過去の情報履歴は必要になります。それを知っているのと知らないとでは対応のスピードが違ってきます。例えば、このマンションは給湯配管からの漏水が多い、過去にそのような漏水事故が多発していれば、まずそこから漏水調査が行えます。
やはり今回も「給湯配管からの漏水だった」ってことが多いのですが、それを知らないと漏水原因に行き着くまで時間が掛かります。これにより被害が拡大したりもします。
管理会社が変わると情報が途絶える。そこに注意を払う必要があります。なので、マンションの漏水事故の対応記録なども引継ぎの際には必須です。
管理会社任せは禁物
管理会社同士の引継ぎは書面によるものがほとんどです。そこでは事務的な引継ぎがなされ、解約される方の管理会社は最低限のことしかやりません。そこで十分な引継ぎがなされないのが通例です。
なので、管理組合が次の管理会社に引継ぐ、そして引継ぎに必要な書類や伝達内容を管理組合自身が把握する、この考え方を持つことが大切です。そこに気付けば、日頃の管理の在り方が変わってくると思います。
私たちのマンションは関係ない…
果たしてそうでしょうか?
近年、管理会社からの解約申し入れが増えています。管理会社の合併や事業撤退も増えています。そこで変更を余儀なくされることだって起り得ます。管理会社は知ってても、自分たちは知らない、これが通用しない時代に変わっています。
管理員が現在どのような業務を行っているのか、修繕履歴はきちんと整備されているのか、そこに気付く必要があります。
大規模修繕を実施する時や長期修繕計画を作成する時に修繕履歴は必要になります。詳しくはこちらの記事👇
▶ マンション管理|修繕履歴は一覧にまとめ保管しておくべき!
この修繕履歴の整備を疎かにすると、いざ必要な時に過去の書類を漁り、そこでかなりの時間を費やしますし、書類の紛失にそこで初めて気付いたりもします。そんな状況下で管理会社が変われば知らないことだらけになります。
引継ぎの際は、マンション管理に必要な情報を新たな管理会社に伝達できるよう、前もっての準備は欠かせません。そこで慌てないために、日々の管理の在り方について見つめ直す必要があるかも知れません。
私見になりますが、この記事で何か感じていただければ幸いです。