対応へのスピード
マンション管理会社の対応を迅速なウサギとのろまなカメに例えるなら、管理組合(住人)の皆さんは当然にウサギの方を好まれると思います。
ウサギとカメの童話では、ウサギとカメが競い合い、最後に勝利するのは足の遅いカメの方です。ですが、マンション管理においてはそうはいきません。
対応が遅いとクレームと化す
私の管理会社時代に、管理組合の要望とか不満の声で多かったのが対応のスピードでした。
▶ 議事録が数か月経っても配られない…
▶ 管理費の滞納がそのままになっている…
▶ 緊急時の対応が遅い…
▶ その後の連絡がない…
▶ いつになったら対応してくれるの…
これらは管理会社に対する常套句と化しています。私も現役時代に「〇〇が遅い」って何度言われたことか(笑)。
どうして管理会社の対応が遅いのでしょう。それには理由があります。
今回、その真意について語らせていただきます。
対応の遅い3つの理由
管理会社の対応が遅い理由、これには大きく3つの要因があります。
2⃣ 業務の煩雑さ
3⃣ 企業体質
1⃣ 人の入れ替わりが激しい
管理会社は人の入れ替わりが激しく、離職率の高い業種です。特にフロントマンの離職率は高く、フロント担当者が頻繁に変わる理由はそこにあります。(詳しくはこちらの記事)
頻繁にフロントマンが変わる会社では、十分な引継ぎがなされないからその後に色んなトラブルが生じます。
このトラブルで多いのが事案の放置です。それが緊急事案(漏水事故)だったら途中で放置されると困りますよね。(引継ぎの重要性についてはこちらの記事)
おいおい冗談じゃない!
当事者や管理組合からしてみれば、本当に冗談で済む話ではありません。
人の入れ替わりが激しい会社では、前任者が棚上げにした業務が多く残され、後任者はその残務処理に追われます。それと並行して現在進行形の業務を行う必要があるため、業務全般が滞りやすくなります。それって対応スピードにモロに影響します。
業務が増えると優先順位の判断が鈍くなり、これが対応の遅さに繋がります。
2⃣ 業務の煩雑さ
管理会社の業務は多岐に渡ります。特に管理組合の窓口となるフロントマンは色んな業務が集約されるので息つく暇がありません。
大手・中堅の管理会社では、フロントマンの負担を軽減する目的で分業体制が敷かれていますが、それによってフロントマンの仕事が大きく減ることはありません。逆に面倒になることの方が多いです(笑)。
私の管理会社時代に「今日はこの仕事をやるぞ!」とその日の朝に計画しても、当日に急を要するトラブルが発生し、計画通りに物事は進まないことが多かったです。
フロントマンなら誰しも経験されていることでしょう。本当に管理会社はやることが多過ぎて、特に日々の突発的な対応処理には苦慮します。
担当しているマンションはひとつではありませんから、色んな対応が重なればどんどん対応スピードは落ちていきます。それが対応の遅さ、対応の悪さに繋がっています。
3⃣ 企業体質
企業は少数精鋭が理想です。管理会社もまた企業だから少数精鋭を望みます。しかしながら、管理会社が行う事業は多岐に渡り、範囲も広く、煩雑な業務が多いので少数精鋭では成り立ちません。相応に人手は必要です。
ですが、実態はというと担当物件を多く持たせることで人員を減らし、キャパシティを超える業務を社員に押し付けています。(全ての管理会社がそうしているとまでは言いませんが…)
社員のキャパシティを超える業務、それが対応の遅さに繋がっています。(詳しくはこちらの記事)
冒頭のウサギとカメの話に戻りますが、最後の勝敗は別にして、管理会社はどう足掻いてもカメ体質と言えます。対応にもがき苦しむカメです。
対応スピードというのは、個人の裁量にもよりますが、それ以上に企業体質が大きく影響しています。カメの背中に次から次に重い荷物を背負わせています。
そのことに全く気付いていない経営陣…
企業の合理化は必須ですが、そこを履き違えると顧客からの不満が増し、前述の社員の入れ替わりが増え、更に業務が増え、これらが繰り返され、悪循環に陥ります。
この逆を実践すれば悪循環は絶ち切れます。改善の余地はあるのにそれに気付けない管理会社の経営陣…