管理会社の利点と言えば、マンション管理のあらゆる業務を包括的にサービス提供できることにある。そして多くの管理組合は、このパッケージ化されたサービス(一括発注方式)を利用している。
管理会社に窓口が集約される(窓口の一本化)、それが管理組合にとって最大のメリットと言える。
一方の管理会社は、色んなサービス業務を包括的に契約してもらえるから、売上げは増えるし、相応に利益が得られる。また、受注業務が増えるとコストの合理化が図れるから、管理会社側にとってはまさに理想の契約形態と言える。
一見すると互いにとって理想のサービスに思えるのだが、果たしてその実態は…
管理会社のキャパシティは限界
管理会社はマンション管理を通じて色んなサービスを提供している。受注業務を増やすことが売上げ、利益に直結するから、ひとつでも多くの業務を受注することに重きを置いている。
仕事のボリュームが増えると、「対応が悪い」「対応が遅い」「ミスが多い」「そのうち忘れる」を生んでしまう。これは、実際に見聞きする管理組合側の不満の声でもある。
会計業務、理事会支援業務、総会支援業務、この3つがマンション管理の根幹業務と言えるが、これらの業務がなおざりになっている感は否めない。
「提案がなされない」「会計報告書の記載ミス」「滞納放置」「マンション管理適正化法違反」など、これらはなおざりの証拠となろう。
設備点検業務、定期清掃業務、大規模修繕を含めた修繕工事など、商売に繋がることは何でも受注する、これが管理会社の悪いところだと思う。
一定数を超えると、管理会社のキャパシティが限界を超える。ここでいう「キャパシティ」とは、受注した仕事に対する処理能力を指す。
管理会社が受注したサービス業務を十分にこなせていない。これが実情ではないだろうか。
そこで働く社員たちのキャパシティが限界を超えているから前述の「提案がなされない」「会計報告書の記載ミス」「滞納放置」を招いている。
マンション管理適正化法が施行され、作成する資料がかなり増えた。そして管理組合の要望も昔とは違って多岐に渡り、資料作りを含めその対応にはかなりの時間を要する。
そこで更に受注業務が増えれば、自ずと限界を超えてしまう。
キャパシティが超えていることに気付けない、それが管理会社なのかも知れない。
<関連記事>