学校のクラス内でやれたことが管理組合ではできていない。就業先でやれていることが管理組合ではできていない。この二つに共通する「できていない」、何だか分かるだろうか?
それは「名前と顔を覚える」という行為である。
人との交わり、コミュニケーションを図る上で相手の名前は欠かせない。
ところがマンションに長年住まれていて、顔は知っているけど名前を知らない。これは意外とよく耳にする。同じ屋根の下にいながら互いの名前を知らぬ存在、それが管理組合の実情ではないだろうか。
総会、理事会の席で互いに名前を知らない者同士がマンション管理について話し合う。もしそれが事実であるのなら、その話し合いは形式的なものになるだろうし、虚しく思える。ここでいう形式的とは、とりあえずの義務参加である。
会合の席で身内の名前を知らないというのは、企業組織では非常識となろう。初対面なら互いに自己紹介をするのが礼儀である。
これが管理組合組織では非常識だと認識されていない。だから名前を知る必要性を互いに感じていない。それが管理組合の形骸化を生んでいる。
なぜこのようなことが起こるのか?
総会、理事会の席に管理会社がいるから、別に出席者の名前を知らなくても特段支障は来さない。管理会社が議事進行を行い、出席者はゲスト、その感は否めない。
失礼な言い方になってしまうが、管理費というお金を支払っているから自分は客人だって勘違いされている方がいらっしゃる。もしその考えを持つとしたら、自分の話し合いの相手は管理会社ということになる。だから同席している組合員の名前を特段知る必要もない。
意外とこの勘違いをされている方が多いのが管理組合の実情ではないだろうか。
話し合いの相手は出席者の皆さんである。そこを履き違えるとマンション管理の主導権を管理会社が握ることになる。それは第三者がマンションを支配することを意味する。
まず最初にやるべきこと!
理事会、総会などの会合では、最初に自己紹介は行うべきである。号室と名前だけの手短なものでいいと思う。管理組合のメンバーが集まる機会は年に1度しかない。途中でそのマンションを購入された方など新たに出席される方もいるから、総会の都度行うことが望ましい。
互いを知る挨拶から話し合いを始める、これが見知らぬ会合にならないために必要なことではないだろうか。
この自己紹介は理事会にも言えることである。
特に会合の議長を務める理事長は、これらに配慮すべきだと思う。誰かが口にしないと行えないことでもある。
名前を知らない会合だと何だか他人行儀に感じてしまう。「お宅さま」「そちらの方」「あの方」「今発言された方」、なんだか素っ気なく感じるのは私だけかも知れないが…(笑)。