このブログサイトで度々登場する言葉がある。それは「利益相反」という言葉である。
利益相反とは、一方の利益になると同時に、他方への不利益になる行為のことを意味する。
ビジネスというのは本来、互いに「Win‐Win」の関係でなければならない。だが、その常識論が管理組合と管理会社の関係では成り立たない。これは昔も今も変わっていない。
管理会社は売上至上主義、利益を上げることを第一とする考え方である。一方の管理組合は節約志向、最少費用で最大効果を望む考え方である。管理組合の考え方は全てがそうとも限らない。ブランド志向、高級志向的な考え方もある。
利益相反の事例
管理組合と管理会社の利益相反に該当するのは、建物の瑕疵の対応、そして請負契約である。
建物の瑕疵の対応
マンションデべロッパーは、新築マンションの販売に先駆け、管理会社を指定する。その指定先の多くが子会社である。
管理会社を持たないデべロッパーの場合、大手の独立系管理会社、知名度の高い管理会社を指定することが多い。
指定された管理会社にとってみれば、そのデべロッパーは大得意先となる。それ故にデべロッパーに対して頭が上がらない。
マンションに瑕疵や不具合が発生した場合、デべロッパーに対してものが言えない。既にこの段階で管理会社失格である。
管理組合よりもデべロッパーの方を優先する。瑕疵や不具合が発見されても、先にデべロッパーに報告がいく。管理組合に報告する前に、この瑕疵(不具合)の対応について、デべロッパー、施工会社、設計事務所、設備業者などの関係業者が集まり話し合いが持たれる。その際に責任の擦り付け合いが始まるのだ。
知らないのは管理組合だけである。このようなことが瑕疵や不具合の発見の度に起きている。
そして、一番お金の掛からない方法で手直しが行われる。最悪、真実が告げられないまま、封印されることもある。
多くの管理会社は指をくわえて待つだけだ。
私は曲がったことが大嫌いだから、デべロッパーと激しく衝突した(笑)。口論、罵声、私にとって日常的な出来事だ。今思えば怖いものを感じる。
デべロッパーに言っても話にならない時は、直接施工会社に掛け合った。そっちの方が対応が早い(笑)。
多くの管理会社がしがらみによってデべロッパーに意見が言えない。これは知っておくべきである。
管理組合を支援する立場にありながら、取引先を優先した行動をとる行為、これそこが利益相反と言えよう。
請負契約
管理組合から定期清掃、消防設備点検などの請負契約だけを受注しているのなら、ごく普通のビジネスであり、利益相反に固執することはあるまい。
問題は、管理組合の代理という立場、総会、理事会の運営などをサポートする立場、これらの委任契約がありながら、同時に請負契約も兼ねている。
管理組合の立場に立つ、それは中立的な立場と読みかえれる。支援者というのは、物販やサービス販売は自ら行うべきでない。なぜなら、利益相反に繋がるからだ。
それを管理会社は平然と行っている。しかも割高という更なる矛盾がそこにあったりもする。契約というのは互いの自由である。管理会社が管理組合と請負契約を結ぶのは違法ではない。
請負契約も適正価格であれば、それもありかも知れないが、実際には割高でかつ中身が伴っていないケースは否めない。
管理会社の利益になる一方で、管理組合にとって不利益になる行為は、大規模修繕工事を含めた請負契約などで多く見受けられる。