毎年開催される通常総会(定期総会)の議案には、定番の議案とイレギュラーな議案の2つがある。
定番の議案
定番とは、通常総会で必ず決議を要する議案のことを指す。収支決算、事業報告、収支予算、事業計画、役員の選任、管理委託契約の締結が挙げられる。
この議案は、区分所有法第43条の事務の報告、マンション標準管理規約第48条の議決事項、同規約第35条の役員(理事および監事)の選任、これらの規定に基づく。
この定番には、監査報告も含まれる。これは議案とは呼ばないが、この報告がなされていないマンションが意外と見受けられる。マンション標準管理規約第41条に総会で報告する旨の規定がある。自分のマンションの管理規約を一度確認してみるといい。
イレギュラーな議案
イレギュラーとは、必要に応じて生まれる議案のことを指す。防犯カメラの設置、管理規約の改定、使用細則の設定などが挙げられる。
理事会で決裁権のない行為については、総会決議を要することになる。これらは管理規約に規定されている。
総会提出議案は理事会決議事項
マンション標準管理規約第51条に理事会の議決事項が規定されているのだが、その中に「総会提出議案」が明記されている。
総会に提出する議案は、事前に理事会の承認を要するということだ。管理会社が勝手に議案を決めるケースが見受けられるが、これは間違った方法である。
議案というのは、管理会社が決めるべきものではない。素案は管理会社が作るにしても、決めるのは理事会である。理事会で否決されれば総会議案は成立しない。ただし、定番議題は関連法規によって必ず提出しなければならない。
議案というのは、そもそも理事会の案であり、管理会社の思考案ではない。1年間の活動結果がそこに込められるのだ。その議案に理事会の意思が入っていなければ、蝉の抜け殻と同じである。
総会で各議案の説明を行うのは、本来理事長であり、理事会である。管理会社ではない。終始管理会社がリードしている総会に何度も出席したことがあるが、中身が薄い。そして理事長、理事は、一組合員と同じ、各議案に対して異議を唱える。理事会で決めた議案に自らが異議を唱えているのだ。まさしく本末転倒である。
管理会社対管理組合の教壇方式の総会、本当にこの手の総会が多い。
総会は、話し下手でも管理組合主導で行うべきだ。そして管理会社は、理事長、理事に正しい総会のやり方をレクチャーし、脇役に徹するべきである。