企業会計と非営利会計
会計の種類は、大きく企業会計と非営利会計の二つに分けられる。管理組合は営利を目的としていないから非営利会計となる。
単式簿記と複式簿記
会計処理方法には、単式簿記と複式簿記があるのだが、一般的に管理組合では複式簿記を用いるケースがほとんどだ。自主管理を行っている管理組合では、単式簿記が採用されるケースが見られる。
発生主義と現金主義
複式簿記は発生主義、単式簿記は現金主義という考え方なのだが、会計処理を行う上で基本かつ重要な部分になる。管理組合会計における発生主義、現金主義の考え方は以下のとおりだ。
▶ 発生主義
収支計算が現金の入出金を基準に計上するのではなく、収入そして支出を発生事実に基づき計上する考え方。
管理費の未納の場合、実際には現金は入金されていないが、発生事実により入金という扱いにする。発生事実とは、権利・義務が発生した時点のことを指す。
例えば、期末までに入金がなければ、当期において未収金として処理する。逆に翌期の管理費が期末に入金になれば、前受金として処理される。これが発生主義である。
▶ 現金主義
収支計算が現金の入出金を基準に計上する考え方。
分かりやすいのが一般家庭で用いる家計簿、これが現金主義の典型である。この現金主義は、簡便性に優れているのだが、収支が正しい期間に計上されないというデメリットがある。
会計期間における正しいお金の把握、そこを考えれば「発生主義」が望ましいと言える。
貸借対照表と損益計算書
管理組合会計で用いる複式簿記は、企業会計の基礎知識と同じであるが、企業会計では貸借対照表と損益計算書の書式に対し、管理組合会計では貸借対照表と収支計算書の書式を用いるのが一般的である。
会計帳簿の4つの原則
会計帳簿などの書類は、以下の4つの原則に基づく。
▶ 正規の簿記の原則
網羅性・検証性・秩序性の3条件を満たす。
▶ 真実性の原則
会計帳簿に基づき収支および財務状況に関し真実である。
▶ 明瞭性の原則
区分所有者などの利害関係者に状況などを明瞭に表示する。
▶ 継続性の原則
継続した適用を心がけ、みだりにこれを変更しない。
<補足>
決算報告書はマンション毎にその仕様が異なる。詳細が記されている決算報告書もあれば、大雑把な決算報告書もある。総会時に質問が多いのが大雑把な決算報告書の方である。
決算報告書は作り手によって大きく変わる。その多くが管理会社が作成しているのだが、これを見れば管理会社の良し悪しが一目で分かる。
決算報告書には上記の4つ以外に「分かりやすさ」が求められる。そこには創意工夫が必要である。
予算主義
予算主義とは、管理組合の収入および支出は、総会で承認された収支予算書に従って行うという考え方である。予算準拠ともいうのだが、特に支出については予算内にとどめ、予算を上回る場合は管理規約で定めた方法に従い、適正に行う必要がある。
目的別会計
会計には、管理費会計(一般会計)と修繕積立金会計(特別会計)の大きく二つある。これらを区分して会計処理を行う必要がある。その他にも駐車場会計などがあるが、分ける理由はただ一つ、混同すると適正な管理が行えない。そこに目的別会計の意義がある。
これらが明確に区分されるようになったのは、15年くらい前の話である。それまではどんぶり勘定であった。間違いは多く、明瞭性に欠ける、だから不正が多かったと思う。
これは今の国政にも言えることだ。どんぶり勘定が未だに横行している。流用の先にあるもの、それは無駄遣いである。