管理組合会計

マンション管理組合会計|これを読めば決算報告書のことが分かる!

2022年6月13日



マンション管理組合の決算報告書というのは、そのマンションの財務状況が記されたものであり、管理運営を行う上でとても重要な書類です。

重要な書類にも関わらず、決算報告書の見方や問題点、改善点などのノウハウを教えてくれる人はいません。これは管理組合の会計監査にも言えることです。

通常総会のときに決算報告を行いますが、そこで十分な説明がなされずに報告書に記載された数字をただ読み上げておしまいになっていませんか?

説明する側は、受け手が理解していることを前提に説明を行っている感があり、形式的なものになっています。その繰り返しで期を重ねると、気付いたときには大きな問題と化し、難題を抱えることに繋がりかねません。

総会はディカッションの場であり、互いに意見を出し合って是非を検討することに意義があります。また、大きな問題とならぬように確認し合い、事前に話し合う場でもあります。その前提として、物事の予備知識は欠かせません。

管理組合会計の予備知識を持つことで、これまで素通りしてきた決算報告について見方が変わり、きっと問題点とか改善点を見い出すことができます。

いつもの如く回りくどくなりましたが、今回、管理組合の決算報告書の中身について詳しく解説いたします。



管理組合会計の簿記方式

管理組合会計の簿記方法について、こうしなさいという明確なルールはありません。そこで平成15年に公益財団法人マンション管理センター(管理組合や管理関係者を支援を支援するため、国より指定を受けた公益財団法人)のレポート「マンション管理組合の財務会計に関する会計基準の考え方と課題の整理」が道しるべになります。

このレポートの中に「簿記の方法には、単式簿記と複式簿記とがあるが、複式簿記によると適正な会計書類を作成することができることから、管理組合でも複式簿記を原則とすることが望ましい。」、この記述があります。

複式簿記とは

複式簿記とは、 発生主義の原則に基づき、会計期間の入出金の事象が発生した時点で会計処理を行うことを指します。

発生主義の原則とは

発生主義とは、お金のやり取りに関係なく取引が発生した事実に基づいて費用と収入を認識する考え方を指します。

例えば、会計期間中に管理費等の未収金が発生した場合、実際に入金がなくても当期の収入として計上します。

後で説明しますが、収支報告書の管理費等の収入は未収金の有無に関係なく計上されます。これが発生主義の原則に基づくってことです。

余談になりますが、費用と収入を認識する考え方として、発生主義以外に「現金主義」というものがあります。

この現金主義は、お金の動きだけを記録するとても簡単な考え方で、身近なところでは「家計簿」がこれに該当します。

ただし、現金主義では未収金は不明ですし、来期の収入とか経費が当期に計上されたりと、会計期間における正確な情報は掴めません。

管理組合会計も企業会計と同様に正確性が求められるので、前述の「管理組合でも複式簿記を原則とすることが望ましい」に紐付きます。

続いて決算報告書の中身についてですが、「貸借対照表」と「収支報告書」、「その他添付書類」で構成されていますが、以下、これらの書類の中身について詳しく解説いたします。

 

決算報告書/貸借対照表について

貸借対照表の書式については、管理組合毎に若干違いはありますが、一般的に用いられているものを下記に添付します。(それぞれの金額については、便宜的な数字を用いています。)

貸借対照表は、管理組合の「資産」や「負債及び正味財産」を表すものです。正味財産とは、資産から負債を差し引いたものを指します。この正味財産が次期繰越金になります。

管理組合によっては、「正味財産」ではなく「会計残高」とか「剰余金」といった表記が用いられています。(ここでは正味財産という表現を用います。)

表の末尾の「資産の部合計」と「負債及び正味財産の部合計」が一致していることから、別名「バランスシート」とも呼ばれています。

それでは、個々の勘定科目について説明いたします。

 

貸借対照表/資産の部/勘定科目

現金(管理費会計)

現金は資産の科目になります。小口現金という言い方もしますが、急な出費や日常的な備品の購入に備えて管理事務室の金庫の中に現金を保管したり、マンションによっては時間貸しの駐車料金や駐輪ステッカー代などの現金を管理事務室で受領し一時保管するといったケースが挙げられます。

依然と管理会社による横領事件が後を絶ちません。小口現金は不正のもと(横領の抑止)になるので廃止の傾向にあります。

個人的な意見になりますが、できるだけ現金の保管は避け、口座振替による徴収方法への切り替えをお薦めします。役員報酬の支給に際しても手数料はかかりますが、現金支給ではなく振込みが望まれます。

過去に起きた横領事件で、小口現金の横領が重なり、多額の横領事件に発展した話を聞いたことがあります。後から返せばいい、そこに横領という名の悪魔が潜んでいます。要因となるものは絶つことが横領抑止に繋がります。

 

預貯金(管理費会計・修繕積立金会計)

預貯金は資産の科目になります。管理組合の運営資金は多額となるため、銀行口座(信用金庫や信用組合などの口座もありますが、以下「銀行口座」とします)を開設し、そこに預金しています。

銀行口座の預貯金の額と決算報告書に添付されている残高証明書(写し)とを照合し、相違ないか確認を要します。(監事による会計監査では、残高証明書の原本での照合が必須です。)

 

 

ペイオフ対策で銀行口座が増えたり、残高証明書の発行手数料が嵩んだりと、預貯金の在り方について、状況によっては見直す必要があります。

一般的な対策例として、マンションすまい・る債の活用、利息は付きませんが決済用普通預金口座の開設の二つが挙げられます。

超低金利という現状を踏まえれば決済用普通預金口座を活用した方が得策かも知れません。今の金利だと残高証明書の発行手数料の方が高くきます。

ペイオフのおさらい👇

1金融機関につき預金者1人あたりの元本1,000万円までとその利息は全額保護されますが、それを超える範囲は保護されません。

2010年に金融庁長官の監督を受ける本庁直轄銀行(日本振興銀行)が経営破綻し、近年の世界情勢を垣間見ればいつ何が起きてもおかしくはない時代です。

預金残高が1,000万円を超えている場合、同一銀行の合算預金残高が1,000万円を超える場合は、ペイオフ対策を講じることをお薦めします。

 

未収金(管理費会計・修繕積立金会計)

未収金は、未回収の金銭を計上するための科目となり資産に該当します。管理組合に支払うべき管理費、修繕積立金、専用使用料、駐車場使用料などの未収金はここで知り得ます。

マンション管理の評価は、未収金の有無で決まるといっても過言ではありません。なので、私の管理会社時代には、未収金を無くすことに尽力を注いでいました(笑)。

未収金は一括りにはできません。すぐに回収できるもの、長期化しそうなもの、状況によっては法的手続きが必要なものなどそれぞれ状況は異なります。

未収金が発生している場合は、現状として回収の目途はどうなっているのか?管理組合側がそこを十分に理解しておくことが大切です。

総会時の決算報告の際に、この説明がなされずにスルーされるケースが見受けられますが、これを繰り返していると未収金は増え続けます。冒頭で語った「大きな問題と化す」のひとつと言えます。

そこを事前に抑えておけば、仮に説明がスルーされても質疑の際に確認はできますし、そこで対策について建設的に討議することができます。これってマンション管理運営を行う上でとても重要なことだと思います。

 

前払金(管理費会計)

前払金は資産の科目になります。文字通り前もって支払うお金のことを指しますが、例えば、5年契約で共用部の損害保険契約を締結し、当期に5年分を一括で支払った場合、当期の経費を差し引いた次期以降の経費を前払金として計上します。

前払金(損害保険料)の発生事例👇

5年契約で250万円の保険料を当期に一括で支払った場合で、保険の始期は会計期間の始期と同じと仮定します。

5年を単年の経費に換算すると50万円となり、当期の経費は50万円、次期以降の経費は200万円となります。よって、前払金は200万円となります。

当期の50万円の経費は、管理費会計の収支報告書の支出の部に計上します。

 

預け金(修繕積立金会計)

預け金は資産の科目になります。後で説明しますが「預り金」と関係してきます。

この科目を用いるケースは、期末の段階で本来なら修繕積立金会計の預金口座に保管しておくべき金銭が管理費会計に残っている場合です。実務上、期末段階で資金移動が困難な場合にこのような会計処理を行います。

修繕積立金会計では資産の部に「預け金」を計上し、管理費会計では負債の部に「預り金」として計上します。

 

貸借対照表/負債の部/勘定科目

未払金(管理費会計・修繕積立金会計)

未払金は負債の科目になります。当期の費用として処理すべきものを翌期に入ってから支払われる場合、その費用を未払金として計上します。

例えば、鉄部塗装工事を3月に完了し、代金150万円を翌期に支払う場合、その150万円を未払金として計上します。

業者の支払期日が末締めの翌月払いとなるケースが多いから、未払金という科目はよく使用されます。

 

前受金(管理費会計・修繕積立金会計)

前受金は負債の科目になります。4月分の管理費、修繕積立金、専用使用料、駐車場使用料が3月に入金になった場合、その収入を前受金として計上します。

以上、貸借対照表に用いられる勘定科目の概要について説明しましたが、続いて収支報告書の中身について説明いたします。



決算報告書/収支報告書について

収支報告書の書式については、管理組合毎に若干違いはありますが、一般的に用いられているものを下記に添付します。(それぞれの金額については、便宜的な数字を用いています。)

収支報告書は、「収入の部」と「支出の部」に分けられ、それぞれに対象科目と金額が記載されます。また、「管理費会計」と「修繕積立金会計」の大きく2種類あります。

管理組合会計は、予算に基づくことを原則としています。これを予算準拠と言います。

総会で承認された予算に準じて会計処理がなされているか、そこがチェックのポイントとなり重要視されます。

理事会は、原則として予算を超える支出はできません。やむを得ず予算を超えた科目については、総会の決算報告の際に説明は欠かせません。決算報告の議題では、そこを踏まえて審議することが望まれます。(監事による会計監査では、予算対比のチェックは必須です。)

収支報告書は予算と実績が比較できるように横並びに計上され、予算と実績の対比を記載するのが一般的です。

当期の収入と支出を差し引いた金額が「当期剰余金」となり、「前期繰越金」に当期剰余金を加えた金額が「次期繰越金」になります。この次期繰越金は、前述の貸借対照表の次期繰越金と合致しています。

損害保険料の値上げ、消費税率の引き上げにより、剰余金が逼迫して赤字に転落しているケースが考えられます。

収支状況を正しく知る上で、単年の決算報告書だけを見るのではなく、過去数年間の決算報告書を含めて検証することが重要です。

過去10年分の収支報告書の推移表を作成することで、剰余金の推移を知ることができ、色んな問題点が見えてきます。管理組合によっては、この推移表を決算報告書に添付しているところもあります。

それでは、個々の勘定科目について説明いたします。

 

収支報告書/管理費会計/収入の部/勘定科目

管理費・専用使用料

管理費、専用使用料(専用庭使用料、ルーフバルコニー使用料など)は、住戸毎に定められた金額になるため、予算と実績は変わりません。

おさらいになりますが、管理費、専用使用料、修繕積立金の未収金については、発生主義の原則に基づき収入があったものとみなれます。そこが単一簿記(家計簿)と違うこところです。

 

駐車場使用料

駐車場使用料は、契約状況によって変動します。摘要欄に全区画数と契約区画数を記載しておくと駐車場の稼働状態が一目で分かります。

機械式駐車場が設置されている場合、メンテナンス費用、部品交換などの修繕費が発生し、長期的にみると多額の費用になります。

収支状況を知る上で、管理費会計とは別に駐車場会計を設けることをお薦めします。単独会計により色んなことが見えてきます。

近年、機械式駐車場の空き問題が増えています。機械式駐車場には車両の制限があるため、それがネックとなり中々借り手がいないのが実情です。

機械式駐車場の廃止(平面化)の検討を含め、空き対策の検討はできるだけ早めにされた方が得策です。

 

受取利息・雑収入

受取利息は、銀行に預金している金利部分になりますが、預金金利はほぼゼロ状態で推移しています。

僅かな収入なので、受取利息の科目は削除して雑収入で処理した方が良いように思えます。

雑収入は、軽微な収入が発生した際に宛がう科目になります。例えば、インターネットの電気使用料とか駐輪ステッカー代、電柱敷地使用料などが挙げられます。

雑収入の内訳は、後で説明しますが「収入明細書」に記載されます。そこでどんな収入が得られたかの確認はできます。

個々に科目を設けることもできますが、その場合、毎期一定の収入が見込めるものに限定すべきだと思います。

 

以上、上記の収支予算書に記載された勘定科目について説明しましたが、管理組合によっては、外部の区分所有者から徴収する協力金、携帯基地局の設置料などの収入があります。

また、自治会費(町内会費)を管理費等と併せて徴収している場合、管理組合口座に収納されるため、この科目により収入の部に計上することがありますが、管理組合のお金とは別扱いとなるため、預り金として処理することが望まれます。

その理由として、滞納した場合に未収金として取り扱うことになるからです。管理組合に支払うべきものではないため、未収金として取り扱うのは不適切です。また、自治会費の支払いは、最高裁の判例では任意と述べています。

管理組合の債権でもない、支払いも任意ですから、未収金がずっと残ったままになると後の処理が面倒です。(詳しくはこちらの記事👇)

管理組合と自治会の違いについて!

 

収支報告書/管理費会計/支出の部/勘定科目

管理委託業務費(内訳の科目)

管理会社へ管理を委託している場合、対価として管理委託業務費を支払っていますが、収支報告書の中に「管理委託業務費」の科目を設けて一括りになっているケースが見受けますが、この場合、何にいくら支払っているのかが不明です。

そこで管理委託業務費の内訳を科目にすると一目瞭然です。

管理委託業務費の内訳は、管理会社の変更を検討する場合、管理支出の見直しを行う際に欠かせないものとなり、マンション管理の透明性の観点から内訳の科目を設けることが望まれます。(詳しくはこちらの記事👇)

管理委託料の内訳から見えてくるもの!

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末尾のエレベーター保守点検料についてですが、よくある質問として、「エレベーター会社と直接契約にすることはできませんか。そちらの方が安くなりませんか。」…

管理委託契約の中にエレベーター保守点検が含まれているケースがありますが、確かにそう質問したくなるのは分かります。

実際に管理会社が自ら点検を行っているわけケースは稀で、その多くがエレベーターの保守会社(三菱、日立、東芝など)が行っています。

エレベーター保守点検料って、保守点検料が高いでので管理会社からしれみれば売上に貢献しますので、管理委託契約の中に含めたいという思惑もあるでしょう。

そうした疑問をお持ちの方は、下記の記事を読んでみてください。

エレベーター保守点検費のからくり!

 

修繕費

管理費会計から支出する修繕費は、経常的なものに限られます。ここで言う「経常的なもの」とは、計画修繕以外に発生する小修繕費を指します。

 

突発的な修繕、緊急を要する修繕が発生した場合、この修繕費に計上されますが、今後、共用部の損害保険を使わずに実費で修繕を行うケースが増えるものと思料します。(共用部の損害保険は車の事故と同じで、事故件数に応じて更新時の保険料が値上げとなります。詳しくはこちらの記事👇)

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予算を立てる際は、そうした費用が生じることを想定した予算組みが不可欠です。修繕費とは別に「緊急対応費」などの科目を新たに設け、予算に計上しておくと有事の際に迅速に対応できます。

 

損害保険料

管理組合が加入している共用部の損害保険について、損害保険料の会計処理方法は管理組合毎に異なります。例えば、5年契約の保険料を更新時に一括で処理したり、また期毎に経費を分散して処理する方法があります。

収入と支出とのバランスや差額(剰余金)を正しく知る上で、期毎に経費を分散する方法が適切かと思います。

前述の貸借対照表(前払金)で取り上げた5年契約の保険料250万円を単年に換算すると50万円となるため、当期の経費(損害保険料)として50万円が計上されます。

 

防犯カメラリース料

防犯カメラのリース契約を締結している場合、一般的にこの科目が用いられます。中にはレンタル契約になっているケースも考えられます。

 

防犯カメラのリース料って年間経費で考えると結構掛かります。ひと昔前は5年契約が主流でしたが、近年においては7年契約を組むことも可能です。契約期間が長くなれば、月額リース料がその分低くなるので年間経費は削減できます。

リース契約終了後、リース会社によっては再リースを組むことは可能です。この場合、年間経費が10分の1程度に抑えられます。ただし、再リース期間中に機器が故障した場合、実費負担となるので注意が必要です。

再リースを踏まえれば、一概に7年契約が一番低く抑えられるとは限りません。6年契約の方がトータルコストが低く抑えられるケースも考えられますので、比較検証してみると良いでしょう。

レンタル契約の場合、契約期間中の故障(故意・過失による故障は除く)はレンタル会社が保証してくれます。契約終了後に保証が継続したまま再レンタルが可能というケースもありますので、リース契約と兼ねて検討してみるのも得策です。

ちなみに防犯カメラ機器は8年を過ぎたあたりから故障は増えます。(経験則上)

<防犯カメラの関連記事についてはこちら👇>

分譲マンション|防犯カメラのリース契約について!

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植栽管理費

マンションの植栽の剪定・消毒・施肥を外注している場合は、それに掛かった費用をこの科目に計上します。土の入れ替え(土壌改良)を行った場合も同様です。

 

電気料

共用部の電気料は、大きな経費のひとつと言えます。電気料金の削減については、管理組合で検討されているケースが多いと思いますが、生活には欠かせないライフラインとなるため、契約先の見直しなどの削減対策を講じる場合は、その点に注意を要します。

 

最近気になるのが電気料金の値上げで、電気料金の中に含まれる燃料費調整単価が右肩上がりになっています。なので、実績が予算より大きく上回ることが想定されるため、予算を立てる際は、値上げの動向を考慮する必要があります。(詳しくはこちらの記事👇)

マンション共用部の電気料金値上げについて考える!

 

水道料

マンションの給水方式によって、水道料の会計処理の方法は異なります。この事例は、水道局が戸別に検針を行い、それぞれの使用者に対して直接水道料を請求する方法になります。(戸別検針方式)

共用箇所の水道料は管理組合が負担するので、その金額を計上します。

 

個別検針方式以外に「一括検針方式」というものがあります。一括検針方式とは、水道局がマンションの親メーターを検針し、管理組合に対してマンション全体の水道料を一括請求する方法になります。

各住戸の水道料については、管理組合が戸別検針を行い、水道局の算定方法に準じてそれぞれの使用者に対して水道料を請求します。

この一括検針方式が用いられている場合、収支報告書への記載はそれとは異なります。(下記参照)

戸別徴収分を「水道使用料」として収入の部に計上し、水道局への一括支払分を「水道料」として支出の部に計上します。管理費と同じで、水道使用料は、未収金が発生している場合でも収入があったものとみなして計上します。(科目名は任意です。)

摘要欄に「各戸徴収分」「水道局一括支払分」という文言を入れておくと分かりやすいですよね。

一括検針方式の場合で、「共用部の水道料はどこに計上されているのですか?」との質問がよく出ますが、それは水道局への一括支払いの中に含まれています。

マンションによっては、この一括検針方式から各戸検針方式に切り替えるケースが見られますが、収支上、差益が生じている管理組合では、剰余金に関係してきますので、そのところを含めて検討を要します。

差益とは👇
収入(水道使用料)ー 支出(水道料)= 差益
※上記の収支に例えると
2,013,087円 ー 1,783,498円 =229,589円

管理組合によっては、この差益は大きなものとなり、収入の下支えになります。そこで「差益が出ているのならその分戸別の水道料を安くできないのか?」の質問がよく出ます。

水道局の算定方法に準じて各戸の使用者に請求しているので損はしていません。得にもなっていませんけどね(笑)。

深堀すると、空室時(長期不在)の水道使用料をどのように扱うのか、これもよく問題になります。

水道局の場合、停止手続きを行えば水道料は請求されませんからね。そこで管理組合としての対応方法についてルール決めが必要になります。意外とそこはグレーゾーンになっています。

 

通信費・備品消耗品費・会議費

管理組合の運営にあたり、事務的な経費が掛かります。管理組合毎に科目名は若干異なりますが、通信費は、管理事務室で使用されているインターネット通信料・電話料金・郵便代金などが挙げられます。

備品消耗品費は、机、椅子、電話機、コピー用紙、ゴミ袋、近年では消毒液などのコロナ感染対策費用が該当し、会議費は、総会時のお茶代、会議使用料などが挙げられます。

 

口座振替手数料

管理費等を口座振替により徴収している場合、口座振替手数料が毎月発生します。

指定銀行の口座振替システムを利用していたり、三菱UFJニコス、SMBCファイナンスサービスなどの集金代行会社を利用していたりと管理組合毎に異なります。

口座振替の費用については、上記の支出の例では管理組合が負担した場合の計上方法になっていますが、管理組合によっては、管理費と併せて口座振替手数料を戸別に徴収しているケースもあります。

また管理費等の口座振替を行っているのに、支出の部に口座振替手数料の科目の無い場合は、管理会社に支払っている管理委託業務費(事務管理業務費)の中に含まれています。

口座振替手数料を戸別に徴収している場合は、収入の部に「口座振替手数料」が計上され、同様に支出の部に口座振替手数料を計上します。

口座振替手数料を管理組合で負担する場合、依頼先によって費用を低く抑えることができるので、一度検討されることをお薦めします。

少し前のニュースで話題となった山口県阿武町で起きた4,630万円の誤送金、町役場から銀行に依頼データの入ったFD(フロッピーディスク)を渡したことが報じられましたが、前述の指定銀行の口座振替システムも同様にFDが用いられています。

深堀すると、FDならまだしも依頼データを紙で渡すという原始的なやり取りが実際に行われていたりもします。

指定銀行の中には、紙方式からFD方式、紙・FD方式からWEB方式への切り替えを推奨しているところがあります。メリットして基本料金を低く抑えることができたりもしますので、一度依頼先の銀行に確認すると良いでしょう。

 

支払手数料

支払手数料に該当する費用として、業者などへ支払いを行う際の振込手数料、事業所得がある場合に確定申告手続きを税理士へ依頼したときに発生する報酬、マンション管理に関わる支援団体(NPO法人など)に加入したときに掛かる会費などが挙げられます。

管理組合によっては、「振込手数料」「税理士報酬」「諸会費」といった科目を設けているケースもあります。

 

雑費

雑費は、ほかの科目に当たらない軽微な費用を宛がう科目になります。実務において、ほかの科目に該当する費用がこの雑費で処理されていることがあるので確認を要します。

 

収支報告書/管理費会計/収入の部/勘定科目

修繕積立金

前述の管理費、専用使用料と同様に修繕積立金についても、住戸毎に定められた金額になるため、予算と実績は変わりません。

管理費、専用使用料と同様に未収金が発生しても収入があったものとみなし計上します。

 

受取利息

受取利息は、管理費会計で説明した内容と重複しますが、銀行に預金している金利部分となります。

修繕積立金会計では、普通預金口座以外に定期預金口座を開設しているケースが多く見受けられますが、普通預金の金利と同様に定期預金についても2010年以降ほぼゼロ金利状態で推移しています。

都銀の定期預金の金利は、現在0.002%で1,000万円預けたとしても1年間で得られる金利は僅か200円(税引前)です。

私の住んでいるマンションの話になりますが、前期の通常総会のときにネット銀行を活用する話が出ましたが、検討の末、管理組合には馴染まないという理由で話はなくなりました。

個人的にはネット銀行は好んで活用しています。個人向けの預金金利は、条件をクリアすることで高く設定できますし、振込手数料が月5回まで無料になっています。

ネット銀行の活用にあたっては、委託先の管理会社を交えて一度議論してみるのも良いと思います。

 

以上、収支報告書に用いられる勘定科目の概要について説明しましたが、最後になりますがその他添付書類について説明いたします。

 

決算報告書/その他添付書類について

決算報告に必要な書類として、前述の貸借対照表、収支報告書以外に、銀行口座の残高証明書の写し、監査報告書、月次推移表、勘定科目の内訳などが分かる帳票、収入明細書、支出明細書などが挙げられます。

銀行口座の残高証明書の写し

残高証明書とは、依頼者(管理組合)が指定した期日における銀行口座の預金残高を証明するために銀行側が発行する書類で、指定期日は期末時点(会計期間の終了日)になります。

残高証明書の原本は、監事による会計監査時に貸借対照表に記載された金額とこの原本に記載された預金残高が合致しているか照合します。

残高証明書の写しを決算報告書に添付します。各区分所有者は原本によるチェックはできないため、前述の原本との照合は監事に委ねられます。

 

月次推移表

月次推移表は、管理費会計、修繕積立金会計毎に作成され、会計期間における月毎の収支を推移表として纏めた書類になります。この推移表により、月毎のお金の動きが理解でき、電気料とか水道料の推移が一目で分かります。特に水道料の推移は漏水の発見などに役立ちます。

 

勘定科目の内訳などが分かる帳票

貸借対照表の計上科目で合算額が計上されている場合、内訳書がないと読み手側は理解できません。例えば、前述の「前払金/損害保険料」のケースが挙げられます。

損害保険料として200万円が計上されていますが、金額の根拠を知る上で内訳書が添付されていれば理解は深まります。この内訳書を「〇〇一覧表」といった表現を用いたりもしますが、読み手側にとって理解してもらう工夫が必要です。

前払金(損害保険料)の内訳書👇
※当期を第20期と仮定した場合
前払金・・・・・50万円(第21期分の損害保険料)
前払金・・・・・50万円(第22期分の損害保険料)
前払金・・・・・50万円(第23期分の損害保険料)
前払金・・・・・50万円(第24期分の損害保険料)
前払金合計・・200万円

個人的には、現金・預貯金、正味財産(次期繰越金)を除く、計上科目すべての内訳書は添付した方が良いと思います。ただし、未収金の場合は、号室・氏名の公表の在り方について十分慎重に取り扱うべきです。

この公表については、管理組合毎に考え方は異なると思いますが、プライバシーの侵害で訴訟に発展したり、お子様のいる家庭もあるのでしょうから、個人的には号室・氏名は無記載にすべきかと思います。

 

収入明細書・支出明細書

収支報告書の計上科目で明細が必要なものが幾つかあります。「雑収入」「雑費」「修繕費」「通信費」「備品消耗品費」「会議費」「支払手数料」、修繕積立金の支出科目の「各種工事」の明細は、収入と支出の目的と相手方、それぞれの金額が記載されているので、この明細書は欠かせません。

 

今回は長編となりましたが、決算報告書の中身について、少しでもお役に立てれば幸いです。

 

 








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