管理費会計、修繕積立金会計、いずれも30年単位でみると億単位の収支になる。見方を変えれば、億単位のお金がマンション管理に費やされていることになる。
これだけのお金が動いているわけだから、管理組合は無関心ではいられないし、管理組合会計は目先よりも将来を見据えることが重要だと思う。
だが実際に行われている管理組合会計は、それとは異なり、単年ベースで物事を考えがちである。だから、問題意識を見い出せないまま、平然と単年ベースの予算と決算の繰り返しがなされる。
年1回の通常総会時に、当期の収支予算に対してそれに見合った支出が行われているか、毎年その確認がなされるわけだが、単年ベースでその良し悪しを判断する、この考え方が今の管理組合会計の在り方だと言える。
管理費会計(一般会計)の収支が黒字で剰余金が生じている、だから安心、本当にそうなのだろうか。
管理組合会計というのは管理費会計だけではない。修繕積立金会計(特別会計)も存在する。
管理費会計が黒字でも、修繕積立金会計が赤字、これは単年ベースの決算報告書では知ることはできない。
多くのマンションは、将来的に修繕積立金が不足する。だから途中で修繕積立金の値上げを行う必要がある。当初に設定された修繕積立金が低いから、ただそれだけの理由である。
10年先、20年先を見据えた収支予算書が存在するとしたら、きっと問題意識を持たれる方は増えるだろう。
単年では黒字でも将来的に赤字、これを正しく認識することができるかも知れない。ただ単に「修繕積立金を値上げすればいい」ではなく、その前にやるべきことがあるのでは?、それに気付くことができるかも知れない。
管理費会計の見直しを図り、修繕積立金の繰入額を増やす、修繕積立金を値上げする前にやるべきことが見つかるかも知れない。
消費税の値上げに際して、将来的に管理費会計が資金ショートしないか確認し、もし赤字に転落するとしたら先手が打てるかも知れない。
将来を見据えるということは、管理組合会計において本当に重要なことだと思う。
当期の収支予算を組まれる際に、これまでの収支予算の実績が記された推移表、そして10年先、20年先の収支予算が記された計画表があれば、より適正で安全な収支予算が組める。
今の管理会社に言えば、時間がかかるかも知れないが無償で作成してもらえるはずだ。
本来なら、作成しておくべき資料だと思うのだが…
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