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管理組合会計

管理組合の公金の使い方について

2019年10月19日

 

マンションを所有したら維持管理のために管理費、修繕積立金を管理組合に対して支払うことになりますが、両者を足せば数万円というお金になります。このお金の使い方について、どれくらいの所有者が関心を持たれているのでしょう。

マンションの維持管理を行うために使われるお金であることは皆さんご承知かと思いますが、そこで徴収されたお金には特異性があります。これは消費税などの税金と同じで、いわゆる公金という考え方がそこに存在します。

公金とは、個人のお金ではなく、公の性質を持つお金であり、管理組合もまたその公に属するため、管理組合の手元に入れば公金となり得ます。なので、管理費、修繕積立金の使い方というのは、公金の使い方と読みかえることができます。

これを前提に、管理組合のお金の使い方について語らせていただきます。



管理組合のお金の使い方

個人で買い物をする場合、その人の嗜好や好きな時にそれを行えますが、管理組合の場合はそうはいきません。

管理組合においては、原則として予算に計上しておかないとお金は使えない、そのようなルールが存在します。この予算というのは、管理組合の総会で承認を得なければなりません。公金(皆さんで出し合ったお金)だからこのような手続きが必要になります。

予算は書面により作成され、それが予算書になります。初歩的な話になりましたが、お金の使い方は予算書に準じて行うこれが基本になります。

この予算書に記載されていないものについては、原則としてお金を使うことができません。この考え方を予算準拠といいます。原則という言葉を使っているからもちろん例外があります。

国土交通省が雛型として作成しているマンション標準管理委託契約書の第8条にこのような記述があります。

第8条(緊急時の業務)
乙(管理会社)は、第3条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる災害又は事故等の事由により、甲(管理組合)のために、緊急に行う必要がある業務で、甲(管理組合)の承認を受ける時間的な余裕がないものについては、甲(管理組合)の承認を受けないで実施することができる。この場合において、乙(管理会社)は、速やかに、書面をもって、その業務の内容及びその実施に要した費用の額を甲(管理組合)に通知しなければならない。

一 地震、台風、突風、集中豪雨、落雷、雪、噴火、ひょう、あられ等

二 火災、漏水、破裂、爆発、物の飛来若しくは落下又は衝突、犯罪等

2  甲(管理組合)は、乙(管理会社)が前項の業務を遂行する上でやむを得ず支出した費用については、速やかに乙(管理会社)に支払わなければならない。ただし、乙(管理会社)の責めによる事故等の場合はこの限りでない。

上記の赤字部分の「やむを得ず支出した費用」、これが例外に該当します。予算の中に敢えて予備費という項目を設けているのは、そこから支出できるようにするためです。管理組合によってはこの予備費を設けずに別項目に加算して予算計上されていたりもしますが、予備費を用いる方が理解しやすいと思います。

ただし、その費用が予備費を超える場合は、予算に変更が生じるため、規約上、臨時総会を開催する必要があります。これはマンション標準管理規約(国土交通省モデル規約)であれば第58条第2項に記されています。

第58条(収支予算の作成及び変更)
2 収支予算を変更しようとするときは、理事長は、その案を臨時総会に提出し、その承認を得なければならない。

また、状況によっては修繕積立金を取り崩すことも考えられます。このケースでは、規約上、総会決議を要することになります。この規定は、マンション標準管理規約であれば第48条第六号に記されています。

第48条(議決事項)
次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。

六 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し

※第28条第1項👇

第28条(修繕積立金)
管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。

一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕

二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕

三 敷地及び共用部分等の変更

四 建物の建替え及びマンション敷地売却(以下「建替え等」という。)に係る合意形成に必要となる事項の調査

五 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理

 

ここで問題が生まれます。それは管理委託契約書と管理規約の矛盾です。「やむを得ず支出」というのは言い換えれば「対応しなければ生活に支障を来す」ことを意味します。

なので、多くの場合、総会を開かずに緊急対応がなされています。これが予算内であればあまり問題視されませんが、多額の費用が掛かるケースでは、後の総会で揉めたりもします。

そこで管理会社は、緊急に備えて予備費を多く計上する傾向にあります。そして緊急対応は管理会社が独占で行えるのでそれに掛かる費用って言い値ですよね。

私は管理会社にいた人間だがら、この緊急時の費用がかなり割高であることを知っています。緊急対応を実際に行った業者の言い値に管理会社の利益を乗せて請求するから正直高いです。緊急なら何でもありになっている感は否めません。

確かに緊急時には対応が優先されるべきだと思いますし、夜間対応など大変さはそこにあると思います。ですが、それがもし前述の予想を超える費用だとしたら、その大きな費用を管理組合が負担することに抵抗を感じます。

予期せぬ緊急時だからこそ、日頃の感謝を仕事で尽くす。これが良心的な管理会社だと感じますが、実際にはその逆の思考なんですよね。

管理組合の中には、緊急時の対応に掛かる費用に上限を設けているところがあります。「予備費の範囲内とする」「10万円を上限とする」など条件は様々です。それ以外は必ず総会承認を得るという取り決めがなされています。

緊急時における管理会社の対応に関わる権限については、一度確認された方がいいですよ。曖昧だとトラブルになり得ます。これらの条件は、管理委託契約の更新前に双方の話し合いによって取り決めができます。

管理会社が作成した契約書をそのまま受理するケースが多いと思いますが、管理組合にとって不利にならない契約は結びたいものです。

 

 


 



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