マンションには、火災などの非常時の警報を受信するための住棟受信機という防災設備がある。その受信機は一般的に管理員室内に設置されている。
各住戸に設置されている火災警報器が反応したり、インターホンの非常ボタンを押すと、住棟受信機に信号が送られてくる。機器にもよるが、この受信機で火災発生箇所を確認することができる。
警備会社(管理会社)と機械警備を契約しているマンションでは、住棟受信機に入った信号が瞬時に警備会社などに送られるシステムになっている。
その信号で、火災、停電、非常、貯水槽の満減水異常などの発報原因を警備会社などは把握ができる。機械警備の仕様によっては号室まで把握ができる。
号室が分かれば、事前に当人の緊急連絡先に連絡することができ、実際の火災、誤報の確認が迅速に行える。
なので、号室まで把握できる仕様が本当は望ましい。
この機械警備の仕様については、緊急時の対応にも関わることだから事前に確認しておくべきだ。案外知らない住人が多いと思う。
警備会社などに信号が入ると同社の隊員が現地(マンション)へ出動する。到着までの時間は、警備業法施行細則(第20条)で25分以内と規定されている。
もし実際に火災が発生しているのなら、警備会社が到着するまで待ってはいられない。前述の号室を把握することができれば、先に当事者に連絡が取れる。実際の火災であれば、警備会社から所轄消防署へ通報できる。誤報の場合、消防署の手間、ご近所迷惑を事前に防げる。
号室の把握ができない仕様であれば、警備会社が到着し、現地確認を行い、実際に火災であれば消防署へ通報する。それでは対応として遅すぎる。
そのような仕様であるなら、マンション管理組合側で対応方法について事前に協議し、対応方法を確立すべきであろう。
火災の警報音が鳴動する。その後の対応についてである。
管理員室に住棟受信機が設置されている場合、管理員室の鍵がないと中に入れない。火災発報時に管理員室の鍵が自動解除されるマンションもある。自分達のマンションがどのような仕様になっているのか事前に確認しておく必要がある。
住棟受信機で火災発生の場所を確認することができる。この受信機の見方や操作方法を住人の誰一人知らない、そんなマンションが実に多い。
理事長、理事、防火管理者はせめて把握すべきことだと思う。余計なお節介かも知れないが、本当に火災が起きた際に「知らない」と「知っている」の差は大きいと思う。
受信機の見方や操作方法については、マニュアルがあればそれを手順に確認が行える。一般的にこの手順書は受信機にシールで貼られていたり、付近に常備されていると思う。もし無いのなら、作成して常備することが望ましい。