マンション管理会社の多くは、一般社団法人マンション管理業協会の会員になっている。この協会が行っている事業の中に「管理費等保証事業」というのがある。これを「管理費等保証制度」ともいう。
管理会社が倒産した場合、管理組合に対する返済債務を協会がその管理会社に替わって管理費等の1ヶ月分の額を限度としてその返還債務を履行する制度だ。
ただし、協会の保証機構に加入している管理会社が対象となる。
管理会社が保証機構に加入しているから倒産しても安心、多くの所有者はそのように感じるだろう。
だが本当に安心なのか…
今回、この管理費等保証制度について語る。
そもそも保証契約が必要な理由
管理会社が倒産し、管理組合に金銭的被害が発生した。過去にこのような被害が多く発生している。
マンション管理適正化法が施行される前は、多くの管理会社で管理組合の通帳と印鑑を同時に保管していた。だから管理組合の預金を私的流用するなどの不祥事も多かった。
管理会社の倒産によって、財産を持ち逃げされた、預金口座の差し押さえなど管理組合にとって不利益となる事案が続いた。
昔は管理組合の名義ではなく、管理会社名義の口座で作成されていたのだ。
これらの事故を防ぐために、マンション管理適正化法によって通帳と印鑑の同時保管が禁止された。
だがこれまで管理会社は通帳と印鑑を同時に保管し、管理組合の会計業務を代行してきたわけだが、法律によって急に方向性が変わると善意の管理会社にとって不都合な点が多い。
結果として、収納口座に限り、通帳と印鑑の同時保管が認められるようになり、その代わりに第三者と保証契約を交わすことが条件付けされたのだ。
管理費等保証制度の正しい理解
管理費等保証制度の目的は、管理会社が倒産して管理組合に金銭的被害が発生した場合、その被害を軽減することにある。
協会の保証の額は前述のとおり、管理費等の1ヶ月分が上限となるのだが、実際に管理会社が倒産した場合、この保証額では足りないケースも生じるだろう。全てが保証されるものではない、そう理解しておくべきだ。
管理会社が倒産の危機に陥った場合、管理組合の経費の支払いが滞ったり、管理費用の残高が指定期日までに移し換えが行われず、そこで新たに管理費等が入金され、私的流用されたなら1ヶ月分の保証では足りない。
ここまで考えるのは私だけかも知れない(笑)。