マンション管理を行う上で委託先の管理会社というのは、管理組合にとって良きパートナーであることが理想と言えます。企業においても、顧問税理士とか顧問弁護士の先生方も同じことが言えます。
東京都が策定している「マンション管理ガイドライン」に管理会社の位置付けが示されていますが、そこに「管理組合にとって身近で信用できるパートナー」という記述があります。
このガイドラインの第4章にマンション管理業者編がありますが、そこに書かれているのは、「管理会社はこうあるべき」という理想論です。(記載文章抜粋☟)
更に解説では…
このため、マンション管理業者は、受託業務を適切に実施するとともに、管理組合にとって身近で信頼できるパートナーとして、その専門性を活かして、管理組合が適正な維持管理を行えるよう、組合を支援していくことが必要である。
このガイドラインに書かれていることは、管理会社の役割と読みれます。しかしながら現実はどうでしょう。
マンション管理会社の理想と現実のギャップ
管理会社の多くがこの理想論に沿ったかたちで、マンション管理サービスが提供されているとしたら、このブログサイトは存在しないでしょうね(笑)。
専門的見地から提案や助言を行うことが管理会社の役割に思えますが、実際に管理組合の立場でかつ専門的知識をもって提案や助言を行える管理会社はとても少ないように思えます。
だからこうあるべきという理想像がそこに存在すると思います。裏を返せば、管理組合が思い描く理想と管理会社が行う実務にギャップが存在し、そこでトラブルになるケースが多々見受けられるから、敢えて理想を掲げなくてはならない、これがガイドラインを作成するに至った理由ではないでしょうか。
利害相反を持つ者は真のパートナーにはなれない、これが私の持論です。利害関係を持つ管理会社は真のパートナーにはなれないということです。
一方が得をして一方が損をする、そこに利害が生じます。裏リベート(バックマージン)を受け取っている管理会社に良き提案や助言などできません。業務の丸投げ、フロント担当者が頻繁に代わる管理会社なんて信用できませんよね。
専門性を活かせと言われても、退職者が多い業界で、入ったばかりの新人では適切な提案や助言などできません。ただの御用聞きで終わるだけです。
未だに無くならない管理会社の横領事件、マンション管理が適正に行われるよう国が定めた法律(マンション管理適正化法)に違反し行政処罰を受ける管理会社が後を絶ちません。
他人の財産を盗んだり、法令遵守を無視したマンション管理業界の不祥事は本当にいつまで続くのか。法令遵守できない管理会社がマンションの居住者や所有者に対して規約(ルール)を守れなんて言えませんよね。
「身近で信用できる」という理想と現実のギャップは、これらからも言えることです。
管理会社は真のパートナーにはなれない、経験を通じてそれを悟り、私は長らく働いてきたマンション管理業界を去りました。
理想を現実に変えるのは難しいことです。特にこの業界は本当に難しい。だから管理組合関係者は無関心では駄目なんです。
これはあくまで個人的な意見になりますが、理想と現実を追究してみると必ず真意が掴めると思います。