分譲マンションの管理費・修繕積立金について
分譲マンションを購入したら、管理費、修繕積立金という項目の支出が毎月発生します。これらはマンション毎に金額が異ります。
この管理費、修繕積立金について、誰がどのような方法で決めているのでしょうか。ほとんどの方はそれを意識することはないと思います。
管理費はいったい誰が決めているのか?
当初の管理費、修繕積立金は誰が決めているのでしょうか。それはマンションの分譲会社です。正確には分譲会社の指定する管理会社が管理費・修繕積立金の支出予測を試算し、分譲会社の意向(販売戦略)を踏まえ決定されます。
分譲会社は管理費・修繕積立金の算定方法とか根拠について、あまり知識を持ち合わせていません。なので、マンション管理に精通している管理会社にその算定を委ねているのです。
管理費の内訳について
マンションを購入するときに、管理費の内訳なんてあまり意識する人はいないと思います。この内訳は、新築のマンションであれば管理規約と一緒に添付されている資料(管理委託契約書)の中にそれが記されています。
中古マンションでは、管理組合の直近の通常総会の資料(決算報告書)を取り寄せれば、その中に管理費の内訳が記されています。
管理費はマンションの共用箇所に費やされる負担金であり、維持保全するために必要な設備のメンテナンス費用、管理会社へ支払う管理委託に関わる報酬、電気・水道代、建物共用部分の保険料など複数の項目を合算し算定されています。
マンションが建つ前に既にこの管理費は暫定的に算定されています。言い換えると机上の空論という概念で算定された管理費であります。なので、建物完成後の実情と異なることもあり、そこで当然に見直しが必要になります。
見直すというよりも修正するという言い方が正しいですね。
修繕積立金について
修繕積立金は、建物の中・大規模修繕を行うために積立てられる充当資金です。将来的に足りないとか当初のままでは問題だという説が多く、インターネットで検索してみるとそこに問題点が書かれています。
当初の修繕積立金は、分譲会社の販売戦略上、売りやすくするために低く設定されています。将来的に値上げされるケースがほとんどで、そこを理解せずにマンションを購入され、前述の問題点が生じています。
管理費は割高に設定されている!
デパート、スーパー、ネットショップで品物を買うとき、品定めをしますよね。商品の性能や価格などを比較し、同じ商品であれば安いところで買う、これがごく普通の買い物の在り方だと思います。
しかしながら、マンションの管理費というのは、マンションにセットされたものとして当たり前のように毎月一定額を支払っています。なので、高いとか安いとか比較するものがないから知る術を持ち得ません。
分譲会社から
指定を受けた管理会社は、一般的に分譲会社の子会社、系列会社がほとんどです。中にはそれらに属さない独立系管理会社を指定するケースがあります。
マンションを買ってくれた見返りとして指定管理会社にする。購入者の知らない裏側では色んなことが起きています。
これらの管理会社は1社独占で管理費を決めることができます。そこには競争の原理が働かず、自由に価格を決めれるという管理会社のメリットが存在したりもします。
例えば、この世にスーパーが多く存在すれば、客引きのために自ずと価格競争が起きますよね。これが競争の原理です。そしてお客は、数あるスーパーの中からお得な品物を買います。
もし、この世にスーパーがひとつしかなったらどうでしょう。競争相手がいないから店側は自由に価格を決めることができます。例えば大根1本150円が競争市場での相場だとしたら、独占市場においては1,000円の価格設定が可能です。
これが1社独占の割高な価格設定を生む仕組みと言えます。
インターネットで「管理費削減」というキーワードで検索してみると、年間の管理費が数百万円削減できた、そんな記事をよく目にします。マンションの規模が大きいほど、この削減額が大きなものになります。まんざら嘘の記事ではありません。
当初の管理費は暫定的に設定されたものであって、競争の原理が機能していないため、管理費の見直しを行っただけで、そのような削減という結果が得られます。これはごく自然なことなのかも知れません。
他の管理会社から見積もりを取り寄せる、比較する、適正価格に修正する、こういったことが賢い管理組合では行われています。管理組合が賢くなれば管理会社が値引きに転じたりもします。本当に呆れた業界だと思いますね。
競争の原理というのは、価格のみならずサービスの質を向上させる不思議な力を秘めています。
管理費の見直しは、早い段階に一度は行うべきです。今の管理会社を変えるのが目的ではなく、机上の空論で算定された当初の管理費を実情に見合ったものへと変える、そして管理組合の負担を軽減させるための見直し、それらが目的であります。
ただし、今の管理会社が適正価格に合せない(値引きに応じない)、しかもサービスの質が悪い、もしそうだとしたら、躊躇なく変えた方が身のためです。