修繕時に修繕積立金が不足して困っている、そんなマンションは意外と少なくありません。
特に大規模修繕時にお金が足りない、これが一番多いと思います。その時に管理会社から借入れを勧められるとしたらどのように感じるでしょう。
「足りないから仕方がない」、もしそんな風にマンションの所有者の多くが感じるとすれば、今後「借金だらけのマンション管理」を余儀なくされます。
借り入れというのは言うまでもありませんが「借金」ですよね。将来支払わなくてはならないお金です。当然に利息がつきます。
マンションの修繕の多くは、いつ頃、いくら費用が掛かる、それを予知することができます。そこで予知を書面化したものが「長期修繕計画書」になります。
いくら立派な長期修繕計画を立案しても、先立つお金がなければ話になりません。お金が不足しているマンションは、まずこの長期修繕計画の在り方が問われます。
近年では、長期修繕計画を策定していないマンションの方が少なくなってきていますが、長期修繕計画の中身を確認すると、肝心な修繕項目が抜けていたり、修繕費が実情にそぐわないものであったり、これにより想定外の事態を生むことになります。
特にエレベーターの改修費用が低く計上されている、機械式駐車場が設置されているのに更新費用が計上されていない、給排水管の修繕費用が計上されていない、または計上されているが修繕仕様の根拠が不明、引込開閉盤の費用が計上されていないなど、確認すべき点は多々あります。
なので、今一度、自分たちのマンションの長期修繕計画をチェックする必要があります。
借入を勧める管理会社って
将来的にマンションの修繕積立金が不足することを一番理解しているのは管理会社です。当初の修繕積立金は低く抑えられているので、途中で値上げを余儀なくされますが、仮に資金計画(値上げ計画)があるにしても、計画通りに値上げできるとも限りません。
値上げに反対される方が多数いらっしゃれば現状維持となり、不足の事態は起こり得ます。
不足に至るのは、長期修繕計画は策定しているが、それに見合った資金計画が無いケースがほとんどだと思います。
管理会社は長期修繕計画の提案は出来ても、一方の資金計画は積極的に提案することはありません。そこに問題があると思います。
かといって管理会社に責任があるわけでもありません。なので、そこは管理組合がしっかり認識すべき点だと思います。
この記事で伝えたかったことは、そこではなく、修繕工事を受注するために借入れを勧める管理会社が存在するってことを知っておいてほしい、問題の趣旨はそこです。
昨年末に、マンションの理事に就任した私の知人から、借入れの件で相談を受けました。話を聞くと、管理会社から「修繕積立金が不足しているから大規模修繕は行えないので借入れを行ってください。」、突然の言葉に不信感を持たれたそうです。
お金が足りないことは早い内からわかっていたはず、それまでそんな話は一切なかった。しかも管理会社が自社で請け負う工事見積書を理事会に提出した時に出た言葉で、「おいおい冗談じゃない、待てよ…」と知人は管理会社に苦言を呈したそうです。
管理組合の方から苦肉の策で借入れをしましょう、それだったらまだ理解できますが、それまで何の提案もなされずに管理会社の方から「借入れを行ってください」、その言葉を軽々に口にすべきではない、その前に口にすべきことがあるでしょ、知人の話を聞いてそのように感じました。
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