皆さん、規約原本って何のことかご存知ですか?
規約原本とは、現に有効な管理規約のことを指します。最初に作られた管理規約のことを原始規約といいますが、その後、管理規約が改正されるまでは、現に有効な規約として規約原本という扱いになります。
もちろん管理規約の改正が行われた場合、改正後の規約が規約原本になります。
規約原本ってどこにあるの?
マンションの売主から依頼を受けた不動産会社から、規約原本の写し(コピー)を求められることがあります。皆さん、この規約原本ってどこに保管されているのかご存知ですか。
自主管理をされている管理組合の場合、多くが管理事務室(管理員室)に保管していると思います。管理会社に管理を委託されている場合、「管理会社に聞かないと分からない」、そんな答えが返ってきそうですが、多くの方がどこに保管されているのか知らないと思います。
国土交通省が標準モデルとして作成しているマンション標準管理規約では、理事長が保管することになっています。「マンション標準管理規約(第72条2項)」
理事長の自宅で規約原本を保管されているケースは少なからずあると思いますが、その多くがマンションの管理事務室であったり、委託先の管理会社の事務所に保管されています。
なので、この保管場所については、どこに保管しているのかを建物内の見やすいところに掲示する必要があります。これは区分所有法(第33条3項)、マンション標準管理規約(第72条6項)に規定されています。
規約原本が整備されていないマンションが多い!
この管理規約の原本は管理組合にとっても、マンションを新たに購入される方にとっても大切な書類になりますが、実は整備されていないマンションが多いという実情があります。
「委託先の管理会社に任せているから当然あるだろう」、先程の保管場所の書面掲示もそうですが、実際に確認してみると無いことに気付きます。もちろん、きちんと整備保管がなされているマンションもあります。
私の住んでいるマンションでは、民泊の規約改正のときに規約原本が整備されていないことに気付きました。
管理会社だけが悪いのではなく、私を含めて住民の意識の低さに問題があるように思えます。
これからマンションは選ばれる時代に入ります。人口減少に伴い、これからどんどん空き家が増えていきます。新たに購入される方にとって、建物の管理状態だけではなく、書類の整備保管の在り方も問われるのではないでしょうか。
特に売買に携わる不動産会社においては、そのマンションの規約原本とか長期修繕計画を見て、そのマンションの良し悪しは掴めます。なので、売買に多少なりとも影響します。
空き家が増えると、治安の悪化や滞納問題など管理組合内部の紛争が増えるかも知れません。その際に規約の整備は欠かせません。裁判ともなれば規約は必須です。
何事も「備えあれば憂いなし」です。
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