大規模修繕の実施計画を行う際に、私たちは素人だからとコンサルタントに設計監理を委託されるケースがあります。一般的にこの方法を「設計監理方式」と呼ばれていますが、コンサルタント、一級建築士だから安心、この考え方は禁物です。
マンションの建物や設備の全てを熟知しているとは限りません。例えば、使用される材料とか調合の仕方、工法とか、逆に現場に携わる職人さんの方が良し悪しをよく理解されています。
現場で色んな失敗をしてそこから学ぶ、使用した材料、選択した工法で問題が生じる、それを次の現場で活かす。人の技量もそうですが、物(材料)の技術革新はそうやって生まれます。
その一方で、学習しない職人さんや旧態依然の考え方が拭えない一級建築士も中にはいます。この2つが組み合わさると仕上がり(完成度)は期待できません。
そこで重要になるのが、現場の指揮者である「現場監督」です。業界では「現場代理人」という呼び名で言われたりもします。
現場代理人で完成度が決まると言っても過言ではありません。本当にこのポジションってのは重要です。詳しくはこちらの記事☟
現場代理人もそうですが、マンションの大規模修繕で重要なのは「材料選び」です。意外と工事金額ばかりに目が行ってしまい、材料はどれも同じ、あまり気にしない、コンサルタントに任せっぱなし、そんな大規模修繕をこれまで多く見てきました。
そこで不具合が生じた際に必ず出る言葉、「なんでこんな材料使ったの?」「なんでこんな工法を採用したの?」、それを知った部外者である有識者が口にします。
金額ばかりに目が行くと、このような事態に陥ります。
使用される材料には注意が必要!
材料のイニシャルコストは高くても、もし長持ちできるとしたら、この考え方を持つことが必要です。「費用対効果」、それを計算すれば目先で判断することの危険さを予知できます。
建物の隠ぺい部分に錆びやすい鉄を使用したとすれば、修繕を行う際に壁や床を剥がなくてはなりません。昔は多くの部材に鉄を使用していましたから、給排水管、給湯器のダクト、地下に埋設している配管の吊り金具が錆びて、漏水、排気不良、排水不良など色んな不具合が生じています。
近年はその場所に適した材料を使用するようになりましたが、材料もひとつではありません。数ある中から選択する必要があります。
防水材や塗料材も耐久性や価格はピンキリです。なので、選ぶ際には注意が必要です。詳しくはこちらの記事☟
材料選びに際しては、業者都合ではなく、そのマンション(現場)に適したものを選ぶことがポイントです。それをアドバイスするのが設計・監理を担うコンサルタントの役割とも言えます。
前述の業者都合とは、施工会社が提携しているメーカー(代理店)の材料を押し付けることを意味します。そのメーカーの材料を多く使えば、安く仕入れたり、色んな特典があるから必死です。これは下請け業者にも言えることです。
今はネットで検索すれば色んな情報を入手することができます。知識ゼロで有識者のアドバイスを受けるよりも、僅かでも知識があるのとでは、結果はかなり違ってきます。それってとても重要なことだと思います。