近年、修繕積立金の不足しているマンションは意外と多く存在します。国土交通省が5年毎に実施してるマンション総合調査(平成30年度)によると、長期修繕計画における修繕費に対して、修繕積立金が不足していると答えた管理組合は34.8%になっています。
出典:平成30年度マンション総合調査/国土交通省
そこで、不足が生じている管理組合では、修繕積立金の値上げが必要になりますが、値上げ方法として、段階的に値上げされたり、均等に値上げされたりしますが、均等の場合だと、2倍以上の値上げになったりもします。
その一方で、給与所得は上がらず、お子さんのいらっしゃる家庭では成長と伴に教育費が嵩みます。値上げというのは家計にとって喜ばしい事ではありません。
修繕費を補うための資金が足りないから値上げする、そんな理由で値上げに至っていますが、これは国の消費税と全く同じです。
これまで多くの政治家は、選挙に勝つために臭いものには蓋をして負担の先送りをしてきました。マンションに例えるなら、分譲会社はマンションを売るために負担の先送りを押し付けてきたと言えます。
先日、自宅の郵便受けに投函された中古マンションの販売用の広告ちらしに、これらを象徴することが書かれていました。
築32年の物件で住宅ローンの借入期間40年、毎月のローン返済額が大きな字で書かれていました。そこに「今の家賃と比較してください!」、この返済額には管理費・修繕積立金は含まれていません。
このような広告ちらしを見る度に、客寄せのために後先見ない販売を未だにしているのかと本当に呆れます。住宅ローンの完済時には築72年です。果たしてこのマンションに住み続けることができるのでしょうか。
毎月の支払額を抑えるために敢えてローンの最長期間でシミュレーションし、管理費・修繕積立金をこれに加えず、家賃と比較させることに前述の後先見ずの真意が隠されています。
修繕積立金を上げる前にやるべきこと!
管理組合の収入源は、管理費、修繕積立金、駐車場使用料、専用使用料などで構成されています。この限られた収入(資金)でマンション管理を行う必要があります。
管理組合が発足された時点で既にこの収入源となる個別の料金は、分譲会社によって決められていますが、この算定された料金が当てになりません。詳しいことはこちらの記事に書いています。
最初の料金設定というのはとても重要です。なぜなら、途中で変更するのは決して容易ではないからです。「この料金設定だったからマンションを買った!」、このように言われると返す言葉に詰まります。購入時に値上げの説明が事前になされていないのなら、この言葉が出てもおかしくありません。
もし、その料金設定に間違いがあるとしたらどうでしょう。返す言葉がきっと見つかると思います。
他の記事にも書いていることですが、この料金設定って業者都合の設定なんですよね。分譲会社や管理会社の思惑がその料金設定の中ににあります。見方を変えれば、所有者にとって都合が悪いことになります。所有者の皆さんはそこに気付く必要があります。
修繕積立金の値上げにあたっては、管理費等を含めた全体的な見直しが必要です。参考になる記事がありますので、下にリンク先を貼っておきます。
掲載元:ダイヤモンドオンライン