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マンション所有者は売主の瑕疵担保責任、品確法は知っておくべき!

2017年8月1日

 

マンションなどの不動産は、他の商品と比べものにならないほど高額な商品である。一般庶民からすれば、一生に一度の大きな買い物といえる。だが、マンション購入後に建物の瑕疵などを理由に売主と揉めるケースが後を絶たない。

不動産を所有する以上、最低限知っておくべきことがある。それが「売主の瑕疵担保責任」と「品確法」である。

 

瑕疵担保責任について

マンションの売主や請負人は、建物などの欠陥(瑕疵)について、損害賠償等の責任を負わなければならない。この責任のことを「瑕疵担保責任」と呼んでいる。

売買契約における瑕疵担保責任は、民法第570条に規定されている。

民法第570条(売主の瑕疵担保責任)
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。
第566条(関連条文抜粋)
契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない。

しかしながら、この民法第570条は任意規定であるため、一般的には、マンションの売買契約の実務においては、売主が瑕疵担保責任を負う期間を2年の短い期間に設定するのが通例となっている。

この2年という設定は、宅地建物取引業法によって合法的な期間になるのだが、民法の責任を軽減するものに他ならない。3年経っても、5年経っても、買主が瑕疵を発見してから1年間瑕疵担保を追及できるのが民法の考え方であるが、この宅地建物取引業法の2年を用いられると、買主が瑕疵を2年以内に発見できなければ、瑕疵担保責任が売主に対して追及できなくなる。

宅地建物取引業法の2年の特約が優先されるという買主にとって不利に思える法律がそこに存在している。

宅地建物取引業法第40条(瑕疵担保責任についての特約の制限)
宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は、建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、民法第570条において準用する同法第566条3項に規定する期間についてその目的物の引き渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。

この40条に2年以上と規定されているが、最低期間となる2年が一般的に用いられている。

このように、売主の瑕疵担保責任が事実上非常に限定されていることが、欠陥住宅問題の発生原因の一つであると考えられている。



品確法について

こうした状況を改善するため、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)が2000年4月に施行された。

品確法第88条に「新築住宅の売買契約においては、売主は、住宅の引き渡しの時から10年間にわたって、構造耐力上主要な部分等に関する瑕疵担保責任を負う」、この規定が新たに売主に課せられた。

これは、住宅の主要部分について売主が引き渡し時から10年間にわたり瑕疵担保責任を負うことを義務付けることで、マンションなどの住宅の買主を強く保護する規定である。

品確法における売主の瑕疵担保責任の具体的な内容は次のとおりである。

▶ 適用対象は新築住宅のみである。

住宅品質確保法では、売主が10年間にわたり瑕疵担保責任を負うことを義務付けているのだが、この対象となるのは新築住宅のみで既存住宅は対象外となる。

既存住宅とは、「新築後1年以上経過した住宅」および「新築後1年以内に人が居住したことがある住宅」を指す。

なので、既存住宅の売主には、品確法第88条は一切適用されない。既存住宅に関しては民法第570条により売主の責任を追及することになる。但し、既存住宅の売主が宅地建物取引業者であるときは、宅地建物取引業法に基づき、その売主の瑕疵担保責任の期間が設定されることになろう。

 

適用対象は構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分のみである。

「構造耐力上主要な部分」や「雨水の浸入を防止する部分」に該当しない部分(例えば住宅の内装など)について欠陥が判明したとしても、品確法第88条は適用されない。この場合は民法第570条により売主の責任を追及することになる。

 

▶ 瑕疵は「隠れたる瑕疵」であることが必要とされる。

売買契約における売主の瑕疵担保責任は、契約の対象となる物に「隠れたる瑕疵」が存在する場合にのみ発生する。ここでいう「隠れたる瑕疵」とは、「買主が一般的に要求される程度の注意を払ったにもかかわらず買主が発見できなかった欠陥」のことである。

なので、一般人である買主が通常知ることができないような欠陥は「隠れたる瑕疵」に該当し、瑕疵担保責任を追及することができる。

 

引渡しから10年が過ぎると、瑕疵担保責任を追及できなくなる。

売主に対して瑕疵担保責任を追及することができる期間は、引渡し時(売主から買主への引渡しまたは建築業者から売主への引渡しのどちらか早い方)から10年間に限定されている。従って、例えばマンションの外壁に欠陥があり、その欠陥が引渡しから11年後に発見されたとしても、品確法第88条は適用されない。

 

権利行使期間が終了すると瑕疵担保責任を追及できなくなる。

瑕疵担保責任を追及するためには、買主が欠陥を発見したときから1年以内に、売主に対して瑕疵担保責任を追及する必要がある。この1年の期間を「権利行使期間」という。この権利行使期間が過ぎてから、売主に対して欠陥の補修または損害の賠償などを要求しても、売主は瑕疵担保責任を負わない。

 

▶ 買主は売主に対して、住宅の欠陥の補修を要求できる。

住宅の欠陥に対する補修請求のことを「瑕疵修補請求」という。この補修が可能な場合であっても、補修工事を要求することなく、その欠陥から生じた損害を金銭で賠償するように要求できる。これを「損害賠償請求」という。なので、買主は自らの判断で補修工事と金銭賠償のどちらでも要求することができ、補修工事と金銭賠償を組み合わせて要求することもできる。

なお、欠陥の程度がひどく、契約の目的を達することができない場合(欠陥により住宅に住むことが困難な場合など)には、売買契約そのものを解除して、代金全額の返還と損害賠償を要求することも可能である。

 

無知というのは、何かと損をしてしまうし、知らないことで不安になったりもする。知っていれば取り越し苦労をせずにすむことだってある。

勉強は生きる上で必要なことだと思う。マンション管理もそうである。色んな知識があれば色んなところで役に立つ。

 


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 プロフィール

くるみ

くるみ

著者:kurumi

マンションデべロッパー、デべ系管理会社、建設会社勤務を経て、2004年に管理会社設立。
2017年に業界を離れ、今はフリーランスとして活動しています。
元業界人がマンション管理についてしがらみ抜きでガチで語っているので、是非読んでみてください。

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