マンション管理士の認知度は低い
マンション管理は管理会社が行うもの、そのように思われている方が本当に多い。昔から管理会社というのは身近に存在しているのだから、これが当然の考え方なのかも知れない。
マンション管理士、この資格が創設されてから十数年が経過しているわけだが、この資格の認知度が低いのが実情であろう。この低い理由として、マンション管理士のアピールする機会が少ないことが挙げられる。
一方、管理会社は当然の如く存在するわけだが、新築時からそこに存在するから、そこに住まれる区分所有者の皆さんは、嫌でも管理会社の名は知り得る。そこの違いは大きい。
管理会社が管理組合に対して、積極的にマンション管理士を紹介することはあり得ない。それは自らの首を絞めることを意味する。管理会社からしてみれば、マンション管理士は煙たい存在であり、商売敵になる。
管理会社の口から決して出ることのない言葉、それが「マンション管理士」である。これも認知度が低い理由のひとつになるだろう。
管理組合の懐事情
マンション管理士はボランティアではない。弁護士、税理士、司法書士などと同じ、その道の専門家(助言者)として対価報酬が得られる堅実たる職業になる。
だがしかし、この報酬が支払えないという管理組合の懐事情がある。管理会社に支払う管理委託料、そしてマンション管理士に支払う対価報酬、管理組合にしてみれば二重の負担、人によっては無駄なお金に思えるだろう。
マンション管理士のコンサルタント業務のひとつに管理コストの削減がある。管理費を下げることで、そこからマンション管理士の報酬(成功報酬)を捻出させるという方法である。
金銭的な部分だけを見れば、管理組合は損をしないわけだから、合理的なビジネスに思えるが、報酬が得られるまでの期間が長いため、専業では難しいように思える。それに取っ掛かりの営業も管理会社から妨害されることも多いだろう。
コンサル系管理会社
マンション管理士が継続的な事業経営を望むのであれば、コンサル系管理会社を立ち上げるべきだと思う。もちろんこれは個人的な意見である。
私は長らくマンション管理業界にいたが、信用できる管理会社、管理組合に紹介できる管理会社は1社も見当たらない。内情を知っているだけに怖くて紹介などできなかった。
管理組合の立場でマンション管理をサポートできるのは、管理会社ではなくマンション管理士だと私は思う。これがマンション管理士の役割であり、強みでもある。
マンション管理士も経験を積めば気付くだろう。この世に存在する管理会社はどこも同じだということ、そして管理組合を守れる者は自分達しかいないことを。
だったら、管理組合にとって不利益の多い今のマンション管理業界を改革する必要があろう。
嫌なことは管理会社に押し付ける、きれいな仕事だけをコンサルタント業として行いたいのであれば改革などは起こせない。ご都合主義は顧客から信用されないということだ。
管理組合の利益のためならどんなことでもやる、この覚悟があれば、マンション管理士の認知度はもっと上がるだろう。そして多くの仕事が生まれるだろう。
マンション管理士は、コンサル系管理会社を立上げるべきだ。有志あるマンション管理士同士が共同で立ち上げる、会計事務所とのタイアップ、一級建築士とのタイアップ、立上げ方法はいくらいでも思い浮かぶ。ここは頭を使えばいいだけの話だ。
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